離婚で家を売却したら多額の税金が…共有持分の税金対策完全ガイド

2019年10月29日(火)

離婚する際に問題となるのが「家やマンションをどうするか?」ということ。特に夫婦共同名義で購入した物件は「共有持分」となっています。家を売却して住宅ローンを完済した上で財産分与を行うというケースも多いのですが、その際には多くの税金がかかります。今回はある夫婦の事例から、共有持分の物件を売却した際にかかる税金について考えていきましょう。

共有持分の売却で税金が高いハードルに

【登場人物】
夫(45歳):会社役員。1年前に浮気が発覚し離婚へ
妻(42歳):夫の会社で経理を勤める。浮気が発覚して離婚を決意
長男(18歳):高校3年生
長女(16歳)高校1年生
次男(13歳)中学2年生

夫は貿易会社を経営。順調に規模を拡大してきて羽振りも良く、飲み歩く毎日。妻は夫の会社で経理を勤めつつ、3人の子育てに奔走する毎日だった。

1年前に夫がホステスと浮気をしているのが発覚。「少しぐらいなら」「仕事の付き合いだから」と夫の夜遊びを許容し、今まで献身的に支えてきた妻もついに堪忍袋の緒が切れて離婚を決意。

10年前に夫婦共同名義で購入した自宅は売却し、それぞれ新居に引っ越すことを考えていた。しかし、経理の知識がある妻が調べていたところ、共有持分の物件を売却する際にはさまざまな税金がかかることがわかった。

妻からの提案でどう手放せば負担が少ないかを話し合うことに。夫も経営者であり、税金対策の重要性については理解しているため、妻との協議に応じることにしたのだ。

税金対策という面では利害が一致した夫婦。まずはどんな税金がどれくらいかかるのか?試算することになりました。

不動産の売却でかかる3種類の税金とは?

共有持分の物件であれ、単独所有の物件であれ、不動産を売却する際には以下の税金がかかります。それぞれどんなものなのか?どう試算すれば良いのかを見ていきましょう。

① 所得税

年間の所得にかかる税金で、国税庁に納める国税です。所得とは収入から経費を差し引いた利益のことで、これに応じて税額が決められます。不動産売却においては、売却で得たお金が「収入」、家を購入した際の支出が「経費」となりますので、購入価格よりも売却価格のほうが低ければ所得税はかかりません。

② 住民税

県民税や市民税といった地方税です。納税先はお住いの都道府県、市区町村となります。こちらも所得に応じて税額が決められます。確定申告で所得税を申告したら、同時に住民税についても申告したことになり、市区町村役場から税額が記載された納付書が送付されます。

<所得税の求め方>
前述のとおり、所得税および住民税の税額は所得で決定されます。所得は次のような計算式で求められます。

収入-経費=所得

たとえば、年間の収入が500万円あり、それを得るために200万円の経費を使った場合は以下のような計算式で計算できます。

500万円(収入)-200万円(経費)=300万円(所得)

つまり、収入自体は500万円あっても、経費で200万円使っているので、所得は300万円。所得税に関しても300万円分のみ納めればよいのです。所得税の税率については国税庁のホームページに掲載されていますので確認してみましょう。

<譲渡所得金額の求め方>
不動産売却で得た所得は「譲渡所得」と呼ばれ、以下のような計算式で求められます。

収入-(取得費+譲渡費用) ―特別控除額=譲渡所得

たとえば2億円で購入した物件が1億円で売れた場合、譲渡所得は以下のようになります。ちなみにわかりやすいよう特別控除額や譲渡費用はなしと仮定します。

1億円(収入金)-2億円(取得費)-0(特別控除額)=-1億円(譲渡所得)…所得税なし

たしかに1億円という大きな収入はあるのですが、購入時に2億円支払っているため、結果として-1億円の赤字。所得税はかからないということになります。

次に2億円で購入した物件が地価の上昇によって2億5,500万円で売れたと仮定しましょう。

2億5,500万円(収入金)-2億円(取得費)-0(特別控除額)=5,500万円(譲渡所得)…所得税あり

この場合、5,500万円の黒字ということになりますので、所得税も5,500万円の利益に対して課せられます。

ちなみに売却するにあたって諸経費が500万円かかったとすると、

2億5,500万円(収入金)-(2億円(取得費)+500万円(諸経費))-0(特別控除額)=5,000万円(譲渡所得)

という計算式となり、5,000万円の譲渡所得に対して税金が課せられます。経費には不動産会社に支払う仲介手数料やリフォーム費用、販売のために必要となった広告費、交通費や通信費など、さまざまなものが挙げられます。確定申告の際には経費についてもしっかりと計上しましょう。

③ 相続税

今回の例では当てはまりませんが、仮に夫が亡くなった場合には妻と子どもが遺産を相続することになります。その際には相続税も支払わなければいけません。ここからは、今回のケース(夫婦と子ども3人)に当てはめて、相続税の計算方法についてご紹介します。

<相続税がかからない場合もある?>
遺産を相続したら必ず相続税がかかるというわけではありません。相続税には以下のような基礎控除があります。

3,000万円+600万円×法定相続人の数

今回のケースだと、妻と子どもが3人いるので、

3,000万円+600万円×4=5,400万円

つまり5,400万円までの資産を相続した場合は相続税がかからないのです。

<相続税の求め方>
それでは相続税の具体的な計算方法を見ていきましょう。夫は以下のような資産を所有していたと仮定します。

現金・預金・株式 7,300万円
土地(特例適用後) 2,000万円
建物 1,500万円
生命保険金 5,000万円
合計 1億5,800万円

遺産総額は合計1億5,800万円となります。次に、夫が亡くなった際に以下のような支出があったとしましょう。

借入金 100万円
葬儀費用 300万円
合計 400万円

遺産から借入金や葬儀費用を差し引いた1億5,400万円が正味の遺産額となります。

【課税遺産の総額の求め方】
相続税は正味の遺産額から基礎控除額を差し引いた金額に課されます。今回の妻と子3人のケースでは以下のようになります。

1億5,400万円(正味の遺産額)-(3,000万円+600万円×4)=1億円

つまり、1億円分の相続税を支払わなければいけないということになります。

【相続税の総額の求め方】
相続税の対象となる遺産が総額でいくらかかるのかを計算する場合、まずは法定相続分で分割して試算します。特に遺言などがない場合は、配偶者が1/2、子が残りを平等に分けるのがルールです。割合は相続人の数によって変わり、今回のケースでは子が1/6ずつ遺産を相続します。

妻:1億円×1/2=5,000万円
長男:1億円×1/6=1,666万円
長女:1億円×1/6=1,666万円
次男:1億円×1/6=1,666万円

課税される遺産の総額は以上のようになります。

【一人一人の納税額を計算してみよう】
次に具体的に納税額がいくらになるかを計算してみましょう。相続税は相続する遺産の額によって税率や控除額が決められます。下表にまとめました。

課税価格 税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

これに基づいて計算すると、

妻:5,000万円×20%(税率)-200万円=800万円
長男:1,666万円×15%(税率)-50万円=200万円
長女:1,666万円×15%(税率)-50万円=200万円
次男:1,666万円×15%(税率)-50万円=200万円

以上の額を各人が相続税として納める必要があります。

ここで悩みを解決!「贈与」と「持分を放棄」した場合の違い

共有持分を放棄して共有者の単独名義にした場合には上記のような税金はかかりません。ここからは贈与または放棄したケースでかかる税金についてみていきましょう。

<贈与した場合は贈与税がかかる>

共有持分を贈与した場合は贈与税という税金がかかります。通常、贈与税は「贈与額-110万円×累進税率」という計算式で求められます。

① 相続時精算課税制度で節税が可能
60歳以上の父母または祖父母から、20歳以上の子や孫へ生前贈与をした場合は、「相続時精算課税制度」が利用できます。この場合、税額は以下のとおりです。

(贈与額-2,500万円)×20%(税率)

贈与税の累進税率は10~55%です。上記の条件に当てはまっている場合は、「相続時精算課税制度」を使うことで節税が可能となります。

② 暦年課税を活用すれば無課税に?
年間110万円までの贈与なら非課税にするという制度が暦年課税です。これを利用して110万円を毎年贈与していけば、多額の資産でも課税されることはありません。

たとえば、共有持分を売却して1,100万円の利益が出たとしましょう。これを10年間で毎年110万円ずつ贈与すれば税金はかからないというわけです。贈与が完了するまでに時間はかかりますが、非常に効果が高い税金対策と言えます。

<持ち分を放棄した場合は贈与税がかかる?かからない?>

共有持分を放棄した場合は、他の共有者に所有権が移ることになりますが、民法上では贈与には該当しません。しかし、相続税法上ではみなし贈与に該当しますので、贈与税が課税されることになります。

<取得費の扱いは贈与と放棄では異なる>

共有持分を贈与で取得して、さらにその持分を売却した場合は譲渡所得税がかかります。この場合、共有持分を放棄によって取得した場合と、贈与によって取得した場合とでは計算方法が異なりますのでご注意ください。

① 贈与によって取得した場合
贈与によって共有持分を取得した場合は、取得時期と取得費が引き継がれます。従って、物件を売却した際には前述のとおり

収入-(取得費+譲渡費用) ―特別控除額=譲渡所得

という計算式で譲渡所得を求めることができます。

② 放棄によって取得した場合
放棄によって共有持分を取得した場合は取得時期や費用は引き継がれません。そのため、以下のような計算式となります。

収入-譲渡費用―特別控除額=譲渡所得

放棄によって取得した物件の場合は、取得費が計上できないが故に譲渡所得税が高くなる可能性がありますのでご注意ください。

覚えておこう!共有持分の放棄に必要な書類

共有持分の放棄は共有人の単独行為(特定の人に対して意思表示をする必要がない行為)なので、自由に行うことができます。ただし、所有移転登記を行なう必要があり、以下のような書類を用意しなければいけません。

持分放棄する共有者

物件の権利証または登記識別情報、印鑑証明書、実印、身分証明書(本人確認ができるもの)が必要です。

他の共有者

住民票、認印、身分証明書(本人確認ができるもの)を用意しましょう。移転登記の手続きに関しては行政書士などの専門家に相談してみてください。必要なものも教えてくれるかと思います。

どっちが良いかはケースバイケース!放棄すべきか贈与すべきかを決めよう!

共有持分を放棄するか?贈与するか?資産の額や家族構成、年齢などでかかる税金の額が異なりますので、一概にどちらを選択すべきかということは明言できません。ただし、間違った選択をすると、本来支払わなくても良い税金を納めることになり、経済的な負担が大きくなってしまう可能性もあります。今回ご紹介した方法でどんな税金がどれくらいかかるのか?試算してみましょう。その上で、税理士に相談してみることをおすすめします。

訳あり物件買取センターでは売却が難しい共有持分物件についても好条件で買取いたします。離婚の際に共有持分の家やマンションの処分に困っているのであれば、ぜひ私たちにご相談ください。

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