【事故物件を相続してしまった!】そんな時に押さえておくべきポイントをお伝え!

【事故物件を相続してしまった!】そんな時に押さえておくべきポイントをお伝え!
2022年07月26日(火)

不幸にもご家族の方がお亡くなりになった場合は相続人(配偶者や子供など)がご自宅を相続することになります。しかし、事故物件となると大変です。煩雑な相続手続きや相続税の支払いに加え、さまざまな悩みが相続人にのしかかります。

今回は事故物件を相続することになった方向けに、事故物件の定義や相続の方法、相続税や原状回復などの費用、事故物件の活用方法などを網羅的に解説します。

事故物件はそもそもどんなもの

事故物件についてはなんとなく「過去に人が亡くなった物件」「売れにくい物件」というイメージがあるかもしれません。相続物件が事故物件かどうか?で今後の活用方法や相続の方針が変わってくる可能性があります。

まずはどのような物件が事故物件に該当するのか?という定義を知っておき、相続物件が該当するかどうかを確認してみましょう。

実は老衰(自然死)だからと言って事故物件化しないとは限らない

不動産を売買する際には売主に告知義務が発生し、何らかの瑕疵(不具合・欠陥)がある場合、買主に対して説明しなければなりません。事故物件は「心理的瑕疵」に該当する物件、具体的には自殺や他殺、事故など過去に人が亡くなっていることが挙げられます。

自宅で老衰や病気などによって亡くなる自然死は普通に起こり得ることなので、事故物件には該当しないと考えられます。ただし、死亡から発見までに時間がかかってしまった、いわゆる「孤独死」となると事故物件に該当する可能性が高いです。遺体の損傷具合や室内の状態(汚れや悪臭、害虫が発生しているなど)がひどい場合は事故物件となってしまう場合があります。

事故物件の定義については『《事故物件所有者のための》事故物件とは?定義から売買注意点まで徹底解説』でさらに詳しくご説明しています。

2021年に策定された国交省のガイドラインでの取扱い

事故物件の取り扱いに関しては明確なルールや判断基準がないため、定義も含めて曖昧な部分も多く、取引現場任せになっていた側面がありました。そこで、国土交通省では2021年に『宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン』を定め、事故物件の取引に対して基準を定めました。

本ガイドラインでも前述のとおり、「取引の対象不動産で発生した自然死・日常生活の中での不慮の死(転倒事故、誤嚥など)については、原則として告げなくてもよい」と記されています。ただし、「原則」なので、孤独死など特殊な事情がある場合は事故物件に該当することがあります。

これ以外にも注目したい部分として「賃貸借取引の対象不動産・日常生活において通常使用する必要がある集合住宅の共用部分で発生した自然死・日常生活の中での不慮の死以外の死が発生し、事案発生から概ね3年が経過した後は、原則として告げなくてもよい」というものがあります。

物件を賃貸する場合、事案発生から3年が経過したら告知をしなくてもよいということになりますが、売買の場合は特に定められていないので、3年以上経過しても告知をする必要があると考えられます。

原状回復にかかる費用

事故物件になってしまった場合、壁紙や床などの内装や設備を元の状態に戻す「原状回復」という作業が必要になります。また、発覚までに時間がかかってしまい遺体の損傷が進み、臭いや汚れ、害虫などが発生した場合や、室内にゴミが散乱している場合は特殊清掃も行わなければなりません。

日本少額短期保険協会が2019年に発行した『第4回孤独死現状レポート』によると、事故物件の平均原状回復費用は36万1,392円、残置物の搬出・処分にかかる費用は平均で21万4,120円という結果が出ています。物件を元通りにするためにはトータルで60万円ほどの出費が必要です。

配偶者・兄弟がいた場合はどう相続されるのか

一般的に不動産を含め相続では「法定相続人」が「法定相続分」に従って遺産が配分されます。法定相続人は被相続人(故人)の配偶者と血族(子供、孫、父母、祖父母、兄弟姉妹)が該当します。

法定相続分とは法定相続人がどれくらい財産を受け取れるかという割合で、民法によって定められています。たとえば配偶者と子供がいる場合、配偶者は遺産の1/2、子供は1/2相続します。子供が2人いればさらに1/2ずつ、3人いれば1/3ずつ平等に分けます。

配偶者と両親がいる場合は、配偶者が2/3、両親が1/3です。配偶者と兄弟姉妹の場合は配偶者が3/4、兄弟姉妹が1/4相続します。

なお、遺言がある場合はその内容に従って相続を進めます。

不動産を分割相続する方法とは

現金であれば配偶者に500万円、子供に500万円というように財産を容易に分割できますが、不動産はそうはいきません。そこで、「分割相続」を行います。4パターンあり、以下のいずれかを選択することで、不動産であっても平等に相続が可能となります。

現物分割」は不動産を分割してそれぞれの相続人が相続する方法です。1つの土地の半分を配偶者が、もう半分を子供が所有するというイメージです。

代償分割」では一人の相続人が不動産をすべて相続し、他の相続人に対して現金を支払います。たとえば1,000万円分の不動産を配偶者が相続し、子供は不動産を相続しない代わりに配偶者から500万円(1/2)を受け取るというイメージです。

換価分割」は不動産を売却して得られた現金を相続人で分割します。自宅を売却して1,000万円の現金が得られた場合、配偶者が500万円、子供が500万円受け取ります。

共有」とは不動産を分割せず、複数の相続人が共有する方法です。自宅を故人名義から配偶者と子供が共有名義で登記することで、不動産を共有することができます。

不動産を分割相続する方法とは

事故物件における相続税の扱い

事故物件であっても一般的な不動産と同じように相続税がかかります。事故物件だからといって免除されるということはありません。しっかり申告手続きを行って納税をしないとペナルティが科せられます。

ただし、一般的な物件よりも税額が安くなる可能性が高いです。国税庁では「周辺宅地に比べて利用価値が低下している宅地については、相続税評価が10%程度控除した価格で評価する」という見解を示しています。事故物件になれば販売価格が下がる、買い手や借り手が見つかりにくくなることから、「周辺宅地に比べて利用価値が低下している宅地」に該当する可能性があります。

相続税においては払い過ぎとして一部戻ってくることも

上記のような見解があることを知らなかった、あるいは一般的な不動産だと思って手続きをした後に実は事故物件扱いになっていたことを知った場合などは、「相続税還付」で支払い過ぎた相続税が戻ってくる可能性があります。

税務署に申請を行い、現地調査や手続書類を提出することで、「周辺宅地に比べて利用価値が低下している宅地」に該当すると認められた場合は、過払い分の相続税が還付されます。後から気づいた場合はこの制度を検討してみましょう。

相続放棄した場合はどうなる?

遺産をあえて相続しないという手段もあります。よく知られるのは故人に借金があったケースです。相続放棄をすることで、相続人は負債から免れることができます。関わりたくない、売りにくいというイメージがある事故物件も、相続を放棄してしまえば楽に思われるかもしれませんが、実際のところはどうなのでしょうか。

手続きはかなり手間がかかる

結論から言うと事故物件は相続放棄すれば手放すことができます。しかし、その場合は「法定相続人の想定」「物件の調査」「相続放棄の協議・判断(3ヶ月以内に必要)」「相続放棄の手続き」「家庭裁判所に相続放棄の申述をする」「家裁の照会書回答」といった、さまざまな段階を踏まなければなりません。親族に「相続放棄します」と伝えればいいというものではないのです。

また、相続放棄を行った場合、負の財産だけでなくプラスの財産(現金や貴金属、家財道具、価値がある不動産など)も手放さなければなりません。

放棄した場合であっても国が何かしてくれるわけではない

仮に相続放棄したからといって、国が事故物件を買い取ってくれたり管理してくれたりということはありません。自分の手から離れても、その財産が誰かの手に渡るまでは相続人が自分の財産と同じように管理しなければならないのです。相続放棄しても原状回復や残置物撤去などの作業を行い、老朽化すれば補修もしながら維持・管理していく必要があります。

空家として放置した場合でも管理責任やリスクは残る

物件を処分しない、自らが住まないとなると、空き家になってしまいます。相続放棄して事故物件が空き家として放置されてしまうケースも少なくないのですが、これには非常に大きなリスクが伴います。

たとえば空き家が倒壊して事故が発生した、害虫や臭いによって近隣住民に迷惑をかけてしまったなどのトラブルが発生した場合、管理責任を問われて賠償を求められることにもなりかねません。また、火災などが起きた場合は保険が下りないこともあります。

場合によっては年間で30万以上の維持費がかかる場合も

不動産を維持し続けるためには税金や光熱費、保険料など、さまざまな費用がかかります。建物の評価額1,000万円、土地500万円の一戸建ての場合、ざっくりと以下のような費用がかかります。

土地の固定資産税 1,000万円×1/6×1.4%=2.3万円
土地の都市計画税 1,000万円×1/3×最高0.3%=1.0万円
建物の固定資産税 500万円×1.4%=7万円
建物の都市計画税 500万円×最高0.3%=1.5万円
管理に必要な電気代 年間約1.2万円
管理に必要な水道代 年間約1.8万円
火災保険料 年間約12万円
地震保険料 年間約5万円
合計 約31.8万円

住んでいない・活用していない事故物件を所有し続けるだけで、年間に30万円もの出費がかかってしまうのです。

更地にすれば問題ない?

建物を解体して更地にして売却するか活用するといった手段もあります。ただし、解体費用などのコストがかかってしまうのがネックです。仮に更地にすれば、事故が発生した建物はなくすことができますが、その敷地内で人が亡くなったという事実は消えるわけではないので、事故物件扱いになってしまうのは変わりありません。

加えて固定資産税も上がる可能性があります。住宅地の場合は固定資産税の減免措置が受けられて割安になっていますが、更地にすることで、それが受けられなくなってしまうのです。

このように、更地にすることでさまざまなデメリットも生じるので、建物がある状態のままのほうがまだ良いとも言えます。

寄付をする場合にもコストはかかる

事故物件が売れない場合は自治体や法人、個人に寄付をするという手段もあります。とはいえ、これに関しても手間や費用がかかります。不動産を譲渡するためには移転登記手続きを行わなければならず、一般的に司法書士に依頼します。報酬や手続きにかかる経費などで10万円以上は必要です。さらに、個人に寄付する場合は贈与税もかかります。

そもそも、事故物件は活用がしづらく、前述のように維持費もかかるため、寄付を申し出ても断られる可能性があり、あまりおすすめとは言えません。

事故物件を含め、不動産の相続を選択する人が増えている

近年では不動産全体の相続件数が増加傾向にあります。やはり主な要因は高齢化です。

相続財産の⾦額の推移(家屋)

(注)上記の計数は、相続税額のある申告書(修正申告書を除く。)データに基づき作成している。

※出典元:国税庁

平成23年は家屋の相続件数は6,700件でしたが、その4年後の27年には8,000件を、そしてさらに4年後の30年には9,000件と、わずか数年で1,000件以上増加しています。また、それに伴い相続財産額も加速度的に増加してきました。

今後もこの傾向は続くでしょう。不動産の相続件数の増加に伴い、事故物件の相続も当然増加していると考えられます。相続は他人事ではないのです。

事故物件は早めの処分が有効

残念ながら事故物件は賃貸などの活用が非常にしづらいです。相続するにあたって相続税や原状回復などさまざまな費用がかかります。仮に相続放棄をしたとしても、管理責任が生じるため、そのまま放置しても維持費を負担しなければなりません。更地にしても、寄付をしても、どんな手段をとっても費用がかかり続けることになります。

時間がかかればかかるほど資産価値が低下し、維持費もかさみます。もしも活用する手段がなく、住む予定もないのであれば、早めに処分してしまったほうが得策です。

賢く売却を進める方法とは

事故物件を売却するには「仲介業者に仲介を依頼する」と「専門業者に買取ってもらう」という2通りがあります。

不動産仲介業者の仕事はあくまで売り主と買い主をマッチングして取引を仲介することです。物件が売れれば仲介手数料を支払わなければなりません。確実に売却できるという保証がなく、特に事故物件の場合は二束三文で売り飛ばすか売れ残ってしまうというリスクが非常に大きいです。

専門業者であれば買主はその業者となりますので、すぐに物件を処分することができます。仲介手数料も不要です。中古物件を少しでも早く・好条件で売却するのであれば、買取業者がおすすめです。

突然の相続にお困りなら訳あり物件買取センターにご相談ください

事故物件を相続して扱いに困っている、相続したはいいもののなかなか売れない……そんなお悩みは訳あり物件買取センターにご相談ください。訳あり物件の取引に特化しているため、事故物件であっても好条件で買取可能。原状回復や登記費用もすべて弊社で行うため、お客様のご負担はありません。そのままお譲りいただけます。

他社に行ったけど断られた」「出費がかさんで困っている」という場合でも、私たちにお任せください。

監修者

宮野 啓一

株式会社ティー・エム・プランニング 代表取締役

国内 不動産トラブルの訴訟・裁判解決件数:150件
国内 訳あり物件売買取引件数:1150件
海外 不動産トラブルの訴訟・裁判解決件数:30件

※宮野個人の実績件数

宮野啓一

経歴

1964年、東京(六本木)生まれ。叔父・叔母がヨーロッパで多くの受賞歴を持つ一級建築士で、幼少期より不動産や建築が身近なものとして育つ。
日本大学卒業後、カリフォルニア州立大学アーバイン校(UCI)に入学。帰国後は大手ビルオーナー会社に就職し、不動産売買を行う。
平成3年、不動産業者免許を取得し、株式会社ティー・エム・プランニングを設立。同時期より第二東京弁護士会の (故)田宮 甫先生に師事し20年以上に渡り民法・民事執行法を学ぶ。
現在まで30年以上、「事件もの」「訴訟絡み」のいわゆる「訳あり物件」のトラブル解決・売買の実績を積む。
またバブル崩壊後の不良債権処理に伴う不動産トラブルについて、国内・海外大手企業のアドバイザーも兼務し数多くの事案を解決。
日本だけでなくアメリカや中国の訳あり物件のトラブル解決・売買にも実績があり、国内・海外の不動産トラブル解決に精通。米国には不動産投資会社を持ち、ハワイ(ワイキキ・アラモアナエリア)・ロサンゼルス(ハリウッド・ビバリーヒルズ・サンタモニカエリア)を中心に事業を行う。

対象エリア東京都・神奈川県

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