【マンションが事故物件になった】 状況に応じたできることを徹底解説!

【マンションが事故物件になった】状況に応じたできることを徹底解説!
2022年08月18日(木)

マンションの事故物件とは?

さまざまな住人が生活しているマンション。所有している以上、いわゆる「事故物件」になるリスクは少なからずあります。一度マンションが事故物件になってしまうと資産価値が落ちて売りづらくなってしまいます。さらに投資用物件としてマンションを所有されているオーナーの場合は 入居希望者が集まらない、近隣の住人が退去してしまうといったさまざまなデメリットが生じます。

今回はマンションが事故物件になってしまった場合の対処方法について解説しますので、マンションが事故物件化して困っている方はぜひ参考にしてください。

マンションが事故物件になるケース

心理的瑕疵物件事故物件とは一般的に「心理的瑕疵物件」がある物件のことを指します。「 瑕疵」とは欠陥や不具合のことです。つまり、住むにあたって何らかの不安や恐怖などが生じる要素のことを指します。

心理的瑕疵はさまざまあります。過去に人が亡くなっている、人に死に関わる施設(墓地や火葬場など)が周辺にある、反社会的勢力の拠点があるなどが挙げられますが、特に物件内で過去に人が亡くなった履歴があるものが事故物件と呼ばれています。

とはいえ、人はいつか死ぬものです。住民の方が老衰などで亡くなった場合は事故物件には該当しません。以下のようなケースが事故物件に当てはまります。

自殺があったケース

まずは不幸にも物件内で人が自ら命を絶ってしまったケースです。自殺という選択肢をとらなければならないほど追い込まれていた精神状態は想像し難いものがあります。 特に近年では自殺件数が増加傾向にあり、年間2万人以上。芸能人や著名人が自ら命を絶たれてしまわれるケースも多いです。その分だけ自殺による事故物件化の件数も増えています。

自殺者の58%は自宅で命を断たれているという統計データがあります。年間2万人が自殺していると仮定すると、約12,000件の事故物件が生まれてしまっているということになるのです。

自殺が発生した事故物件の場合、おおよそ周辺の物件の1/2程度まで価値が下がってしまう傾向があります。よほどのことがない限り通常の価格では売れず、不動産会社によっては門前払いされてしまうケースもあるようです。また近所に噂が広がるため、物件自体には問題がなくとも、住みづらさを感じます。

孤独死があったケース

先ほども解説したとおり、物件内で住人が老衰や病死などの自然死をしたというケースであれば事故物件として扱われる可能性はあまり高くありません。ただし、孤独死となれば話は別です。亡くなってから時間が経過していてご遺体の状態が悪くなっていたり、臭いや汚れ、害虫が発生していたり、ゴミが散乱していたりすると、事故物件扱いになってしまいます。

日本国内では年間4,400件の孤独死が発生しているそうです。少子高齢化の影響で一人暮らしをされている高齢者も増え、年々孤独死も増加して社会問題化しています。今後も孤独死の件数は増えることはあっても減ることはないでしょう。

やはり孤独死が発生した物件に関しても周辺の相場と比較すると大幅に価値が下がってしまいます。さらに、特殊清掃や残置物撤去が必要になるケースもあり、その場合は専門業者に依頼しなければならないため、費用が必要です。

マンションの所有者にとっては孤独死も他人事ではありません。

殺人があったケース

凄惨な事件の現場となってしまったケースは事故物件の中でももっとも売りにくいです。マスコミで報道されるケースも多く、ネットでも住所や外観写真などが投稿されるため、噂がかなり広範囲に広がります。そうなればマンションの住民あるいは近所の住民全員がそこで事件が起きたことを知っている状態になり、 大きな風評被害が生じることになります。

売ろうとしてもまず不動産会社で話を聞いてもらえないというケースがほとんどです。売れたとしても周辺相場の1/4以下に価値が下落してしまいます。さらに、 入居希望者が集まらないのはもちろん、そのマンションの別の部屋に住んでいる入居者も離れていってしまうリスクがあり、特にオーナーにとっては大打撃です。

さすがに自殺や孤独死と比較すると発生する確率は低く件数も少ないですが、殺人で事故物件になったときのリスクも頭の片隅に入れておく必要はあるかもしれません。

分譲マンションが事故物件になった場合

ご自身が所有して住まわれているマンションが事故物件になってしまうということもあり得ます。留守中に親御さんが亡くなってしまわれたり、配偶者やお子さんが自ら命を絶たれてしまったりして事故物件化するケースも少なくありません。

もしご家族などに何らかの不幸があってご自身が所有するマンションが事故物件になってしまったらどうすればいいのでしょうか?ここからは分譲マンションが事故物件化した際の注意点についてご説明します。

物件を売る際の告知義務について

事故物件の処分方法としてまず挙げられるのが売却するという手段です。その際に注意しておきたいのが「告知義務」です。 物件を売却するあるいは賃貸する際に、その物件に瑕疵がある場合は相手方に告知しておかなければなりません。物件内で事故死(自殺や孤独死、他殺の他、転落・転倒などの事故、火災、災害によるものも含む)が発生した場合は、買主や借主にその事実を明らかにしなければならないのです。

物件情報に「心理的瑕疵あり」「告知事項あり」と表記して、重要事項説明書にその内容を記載することで、告知義務を果たす必要があります。分譲マンションだけでなく一戸建てを売却あるいは賃貸する際にも、告知義務は発生します。

【豆知識】事故物件の告知義務とは?

物件を購入する人、借りる人の立場からすると、瑕疵がある物件を避けたいと思うのは自然なことです。仮に契約後に物件に瑕疵があることが発覚した場合、補修に費用がかかる、平穏な暮らしが送れないなどの不利益を被るリスクもあります。そこで、消費者保護を目的として宅地建物取引業法47条1項で告知義務が定められているのです。

ちなみに瑕疵があることを知っているのにも関わらず告知義務を果たさなかった場合、損害賠償や補修費が請求される、物件の購入費などの減額が要求される、売買契約や賃貸借契約の解除が求められるケースがあります。また、悪質だと認められた場合は 詐欺罪にも問われかねません。隠したくなる気持ちもわかりますが、こうしたリスクを考えるとしっかりと告知義務を果たしておくほうが得策です。

告知義務について詳しく知りたい方は「<事故物件所有者のための>事故物件とは?」もご覧ください。

投資用(管理している)マンションが事故物件になった場合

ご自身がオーナーとして所有していて賃貸に出している物件が事故物件化してしまった場合はどうすればいいのでしょうか?ここからは投資用マンションのケースについて見ていきましょう。

特に賃貸として貸し出している場合は事故が室内で起きたのか?共用部で起きたのか?によっても扱いが変わってきますので、その違いについても詳しく解説します。

事故物件の投資用マンションの告知義務について

投資用の物件に関しても同様に告知義務が生じます。もちろん、物件を売却する場合でも、賃貸に出す場合でも、心理的瑕疵があることをしっかりと相手側に伝えておかなければなりません。

国土交通省が定めている『人の死の告知に関するガイドライン』によると、賃貸物件の場合は事故が発生してから3年間は告知義務が生じるとしています。売買契約の場合は時効が定められていません。

特にマンションをまるまる一棟所有されている場合、部屋で事故が起こるパターンと共用部で事故が起こるパターンの2つが想定されます。それぞれの注意点を見ていきましょう。

室内での事故

部屋で人が死亡した場合、先ほどもご説明した通り病気や老衰などの自然死ですぐに発見されたケースなどは告知義務に該当しません。一方で自殺や殺人などの事故が起きた、あるいは自然死であっても発見までに時間がかかって特殊清掃が必要になった場合は告知義務が発生します。賃貸の場合はおおむね 3年以上経過すれば告知義務が消滅し、普通の物件として貸し出すことができます。

一方で売却の場合は5年経過しようとも10年経過しようとも、事故の事実を買主に伝えなければなりません。賃貸の「3年以上は時効」というルールと勘違いして告知をしなかった場合、後から事故物件であることが買主に発覚すれば、損害賠償請求や追完請求、減額請求や契約解除請求がなされる場合がありますので、十分注意しましょう。特に売買の場合は「 契約不適合責任」を負わなければなりません。事故物件であることを隠し通そうとした・騙そうとしたといった意思がなくても、告知義務を果たしていなかったとなると売主の責任が問われるので、しっかりと確認しておきましょう。

共用部での事故

廊下や階段、ホール、ベランダなどの共用部で事故が発生した場合、やはり自然死であれば告知は不要です。事故死が発生した場合、売却する際には買主に通知をしなければなりませんが、賃貸の場合は3年以内であっても告知は特にする必要はありません。 それ以外の事故(自殺・殺人)が起きた場合、通常使用しない共用部であれば告知は不要ですが、エレベーターやエントランスなど、通常使用する共用部は告知義務が発生します。

ちなみに、1部屋のみを貸出・売却する場合、共用部や隣接する部屋で事故が起きたケースでは告知義務は発生しません。あくまでその物件の中では事故死が発生していないからです。

共用部での事故があって物件一棟をまるごと売却する場合には告知義務が生じるので注意しましょう。

入居者遺族への損害賠償

所有している物件が事故物件化することで特殊清掃や残置物撤去などの費用がかかります。加えて大家さんとして物件を賃貸したり売買したりしているケースでは、入居者が減って家賃収入が減少する、売価が低下するなどの理由で損害を被る可能性も大きいです。

この場合、損失を遺族に賠償を請求できるのでしょうか?できるとすればどのような費用を請求できるのでしょうか?ここからは事故物件化した遺族に対する損害賠償請求について考えていきましょう。

【結論】損害賠償請求できる

結論からいうと亡くなった入居者の親族に対して損害賠償を請求することは可能です。物件を賃貸していた場合、賃借人本人が亡くなっても賃貸借契約そのものは有効であり、相続人(本人の配偶者や子どもなど)が賃貸借契約も受け継ぎます。そのため、事故物件の原状回復費や損害の補填などを相続人に対して行うことができるのです。相続人が複数いる場合はすべての相続人に損害賠償の請求ができます。

一方で身寄りがない、家族が失踪してしまったなど、何らかの理由で相続人がいない場合は請求が不可能となってしまいます。相続人に請求できない場合は連帯保証人に請求することになります。

また、故人が借金を残し相続人が債務を履行できないケースなどでは相続放棄という手段がとられることが多いです。相続放棄をすれば遺産を受け取ることができませんが、同時に故人の借金もチャラにできます。事故物件の損害賠償請求も同様です。 相続人が相続放棄をしてしまえば、請求を行うことはできません。

請求内容

事故物件で遺族に請求できる費用は「逸失利益」と「 原状回復費用」の2点です。

逸失利益とは本来得られるはずだった利益のことを指します。事故物件化すると空室期間が発生したり、周辺の住人が退去してしまったり、家賃を減額せざるを得なくなったりなど、さまざまな損失が発生します。こうした不利益を被った場合、 本来得られたはずの利益を相続人や連帯保証人に請求することができるのです。

ただし、損失額をずっと請求できるわけではありません。たとえば東京地裁の平成13年11月29日の判例では、2年間の家賃の値下げ分のみを認めるという判決が出ました。補填されるのは数年間とみておいたほうがいいでしょう。

原状回復とは物件を元の状態に戻すことです。事故物件では遺体が損傷もしくは腐敗して血痕や体液が床や壁に付着したり、臭いが残ったり、害虫が発生したりしていて、とてもそのままでは住めない状態になっているケースも少なくありません。この場合は業者に特殊清掃を依頼せざるを得ません。あまりにも汚損がひどいと床材や壁紙、設備などの入れ替えといったリフォーム・リノベーションが必要となります。 こうした原状回復に必要な費用も相続人や連帯保証人に請求できます。

こちらもあくまで死亡事故に直接関連する部分のみが認められ、たとえばエアコンや家電などの交換は認められない場合があります。

事故物件の投資用マンションの活用方法

不幸にも投資用マンションが事故物件になってしまった場合、これまでと同じように活用し続けることは難しくなってしまいます。とはいえ起きてしまったことは戻すことができず、告知義務を破ることも許されません。少しでも有効に活用していく方法を模索する必要があります。

事故物件の活用方法としては「そのまま賃貸を継続していく」と「売却してしまう」のいずれかです。それぞれのメリット・デメリットについてご説明しますので、ご自身の物件の状況に応じて最善の方法を考えてみましょう。

賃貸の継続 

まずは賃貸として物件を貸し出し続けるという方法が挙げられます。これであれば今までどおり家賃を得ることができます。

とはいえ、前述のとおり特殊清掃を行って原状回復をすることが前提です。その間は家賃収入が途絶えてしまいます。必ずしも遺族に原状回復費用や逸失利益の補填を請求できるとは限りません。

加えて、事故の痕跡は消せたとしても、そこで人が亡くなったという事実は消せません。告知義務が生じるため、賃借人にはそれが知られてしまいます。家賃を安くせざるを得ないという状況が続く可能性が極めて高いです。そもそも借り手が見つかればいいのですが、事故物件ということで物件情報を出しても空室状態が続くかもしれません。 特に自殺や殺人で人が亡くなった場合は、他の入居者が退去してしまうことも考えられます。

賃貸の継続という方法はあるのですが、利益を安定して得続けられる保証はどこにもありません。

売却

もう一つの手段としてあげられるのが、物件を売ってしまうという方法です。この場合もやはり特殊清掃や原状回復を行うのが前提です。物件を元通りにした後に不動産仲介会社もしくは不動産買取業者に依頼して物件を売ります。

やはり告知義務が発生して事故があった履歴が買主にわかってしまうため、買取価格の大幅な下落は必至です。場合によっては買い手すら見つからない、不動産会社で話すら聞いてもらえないといった状況になる可能性があります。

しかし、賃貸を継続して空室のまま税金や修繕費を払い続けるよりは損失を抑えられる可能性があります。高値での売却はできませんが、損切りという点では有効な手段といえます。

また、業者によっては特殊清掃や原状回復の費用を持ってくれる場合があります。そうした業者に頼めば、コストを抑えることが可能です。

事故物件になったマンションに住む人はいる?

今、あえて事故物件を選ぶ人が増えているというニュースも見聞きします。確かに相場よりも安い費用で便利な立地に住めるので、見ようによっては掘り出し物といえるかもしれません。

しかし、こういった人はまだまだ少数派。やはり大多数の人は「できれば事故物件は避けたい」と考えているため、売却や賃貸が難しいことには変わりません。また、事故物件を選ぶメリットは家賃や購入価格が抑えられるからです。 事故物件の買い手や借り手が見つかったとしても、十分な利益を得られる可能性は低いと言わざるを得ません

物件売買における過去のトラブル

不動産の売買にはさまざまなトラブルが発生するリスクがあります。特に売主が意識したいのが先ほども挙げた契約不適合責任です。万が一物件に瑕疵が見つかった場合、買主は売主に対して損害賠償や追完、減額、契約解除などの請求ができます。弊社のお客さまでも、 2,800万円で物件を売った後に瑕疵が見つかり、買主から修理費用として2,500万円を請求され、手元には300万円しか残らなかったという事例がありました。また、この契約不適合責任を盾にして不当な減額要求をしてくる不動産会社も存在します。

不動産売買のトラブルの事例と注意点については、「賢い事故物件の売却方法!」をご覧ください。

マンションが事故物件になったらまずはご相談!

マンションが事故物件になってしまったら、賃貸も売却も極めて難しくなってしまいます。また、特殊清掃や原状回復などで出費が必要となる一方で家賃収入が減少し、損失が出続ける可能性も高いです。

事故物件にお困りなら、訳あり物件買取センターにご相談ください。特殊清掃や残置物撤去は弊社が負担しますので、そのまま物件をおゆずりいただけます契約不適合責任は免責なので、トラブルが発生するリスクもありません。 物件の活用ノウハウと充実した販売網があるため、事故物件であっても好条件での買い取りが可能。代金も最短即日でお支払いします。

どうしたらいいかわからない、少しでも損失を抑えたいという方は、まずご連絡ください。

監修者

宮野 啓一

株式会社ティー・エム・プランニング 代表取締役

国内 不動産トラブルの訴訟・裁判解決件数:150件
国内 訳あり物件売買取引件数:1150件
海外 不動産トラブルの訴訟・裁判解決件数:30件

※宮野個人の実績件数

宮野啓一

経歴

1964年、東京(六本木)生まれ。叔父・叔母がヨーロッパで多くの受賞歴を持つ一級建築士で、幼少期より不動産や建築が身近なものとして育つ。
日本大学卒業後、カリフォルニア州立大学アーバイン校(UCI)に入学。帰国後は大手ビルオーナー会社に就職し、不動産売買を行う。
平成3年、不動産業者免許を取得し、株式会社ティー・エム・プランニングを設立。同時期より第二東京弁護士会の (故)田宮 甫先生に師事し20年以上に渡り民法・民事執行法を学ぶ。
現在まで30年以上、「事件もの」「訴訟絡み」のいわゆる「訳あり物件」のトラブル解決・売買の実績を積む。
またバブル崩壊後の不良債権処理に伴う不動産トラブルについて、国内・海外大手企業のアドバイザーも兼務し数多くの事案を解決。
日本だけでなくアメリカや中国の訳あり物件のトラブル解決・売買にも実績があり、国内・海外の不動産トラブル解決に精通。米国には不動産投資会社を持ち、ハワイ(ワイキキ・アラモアナエリア)・ロサンゼルス(ハリウッド・ビバリーヒルズ・サンタモニカエリア)を中心に事業を行う。

対象エリア東京都・神奈川県

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