再建築不可の活用 ~トレーラーハウスの設置はおすすめできるのか~

再建築不可の活用~トレーラーハウスの設置はおすすめできるのか~
2023年01月23日(月)

再建築が認められていない土地を活用する方法としてトレーラーハウスを設置するというものが挙げられます。
トレーラーハウスとはその名の通りトレーラー(牽引して動かす車)を建物代わりにしたものです

この記事では再建築不可状態の土地にトレーラーハウスを設置するメリットや注意点について考えてみます。

トレーラーハウスって建築物?

冒頭でも述べたとおり、トレーラーハウスはトレーラーを住居として改造したものです。
居住スペースやキッチン、トイレ、浴槽などを設ければ、普通の建物と同じように中で生活することもできます

大きな特徴は牽引して動かせることです。
一般的な建築物は基礎という土台の上に建っているため、動かすことはできません。
一方でトレーラーハウスは車輪がついているため、牽引する車両さえあれば移動させることが可能です。
そのため、トレーラーハウスは建築物ではなく車両とみなされます

トレーラーハウスの法的基準

建築基準法第2条には、建築物は「土地に定着する工作物」と定義されています。
トレーラーハウスは移動ができるため、土地に定着する工作物とはいえません。

トレーラーハウスは「車両を利用した工作物」という扱いとなり、「随時かつ任意に移動できる状態で設置すること」「土地側のライフラインの接続方法が工具を使用しないで着脱できること」「適法に公道を移動できる自動車であること」が要件となっています。

この3つをすべて満たしていれば車両、満たしていなければ建築物という扱いになります。
車両という扱いになれば、建築許可申請が不要となるため、再建築不可状態の土地でも設置が可能です

たとえば車輪を外して移動できない状態になっていたり、ガスや水道などのライフラインを取り外せないような状態になっていたりする場合は、車両ではなく建築物としてみなされる可能性がありますので注意が必要です。

再建築不可にトレーラーハウスを設置するメリット

再建築不可の土地にトレーラーハウスを設置する一番のメリットはなんといっても建築確認申請が必要ないことです。
建物を建てることができない土地でも、トレーラーハウスを設置すれば有効活用することができます。

これ以外にもトレーラーハウスを設置するメリットには以下のようなことが挙げられます。

初期費用が安い

トレーラーハウスの魅力は安上がりであるということです。
建物を建てるとなると数千万円単位の費用がかかりますが、トレーラーハウスであれば設置費用も含めて数百万円で収めることも可能です

さらに再建築不可の土地の場合は、再建築可能な状態にするにも費用がかかりますが、トレーラーハウスの場合はそれらも不要となります
建物を建てるケースと比較したら、かかるコストの差は歴然です。

維持費用が安い

初期費用だけでなく維持費も安くなります。
建物を取得する際には不動産取得税という税金を納めなければなりませんが、トレーラーハウスは建築物ではないため、それが不要となります
さらに、固定資産税や都市計画税もかかりません。

車両として区分されるので車検を受ける必要がありますが、初期コストやランニングコストが安いため、トータルで考えれば支出を抑えることができます

簡易性

建築物は維持するのも大変です。
定期的に外壁塗装や屋根塗装、防水工事などのメンテナンスを行わなければなりません。
間取りや内装を変えたい場合はリフォーム工事を行います。
それらの費用も高額になりがちです。
トレーラーハウスは構造がシンプルなので、維持やメンテナンスも容易です

建物は不要になったら解体しなければなりませんが、トレーラーハウスであれば自動車に牽引してもらって撤去するだけなので、そういった面でも手間やコストを抑えられます。

再建築不可にトレーラーハウスを設置する際の注意点

再建築不可状態の土地に建築物を建てるのではなくトレーラーハウスを設置することで、初期費用やランニングコストを抑えられる、維持や撤去が楽になるなどのメリットが得られます。
しかし、良い面ばかりではありません。
以下のような点には注意しておきましょう。

周辺状況

トレーラーハウスを設置するためには、敷地内にそれを搬入しなければなりません。
トラックで牽引して敷地に入れてもらう必要がありますが、そもそも再建築不可の土地は道路に接していない、接している道路の幅が狭い、接している間口が狭いなど、接道義務を満たしていないがために再建築が認められていないという前提があります
そのため、トラックの進入ができず、トレーラーハウスが設置できない可能性もあります。
まずは搬入できるかどうかを検証した上で設置するかどうかを判断しなければなりません

トレーラーハウスのサイズ

トレーラーハウスは車両であるため、安全に公道を走れることが要件となります。
道路運送車両法によって、車幅が2,500mm以下、全長12,000mm以下、高さ3,800mm以下という基準が定められています
平成24年12月に行われた「トレーラーハウスの運行に関わる制度改正」によって、これ以上のサイズのものでも運輸局に申請すれば設置できる可能性がありますが、そもそもトレーラーハウスは一般的な建築物と比較して、どうしてもサイズや形状に制約が出てしまいます

トレーラーハウスの意外な活躍例

トレーラーハウスには自分が住む、倉庫にする、賃貸住宅や店舗や事務所、倉庫として貸し出す、宿泊施設にするなど、さまざまな活用方法があります。
これ以外にも最近注目されている用途として「避難所」が挙げられます。
実際に2018年に発生した西日本豪雨では岡山県倉敷市でトレーラーハウスが仮設住宅として使われたそうです。

トレーラーハウスは牽引して移動ができるため、被災地に行くこともでき、これまでのプレハブの仮設住宅と違って解体する必要がないため、環境にもやさしいです

地震や台風、大雨などの災害が多い日本。
トレーラーハウスを仮設住宅として活用する議論や取り組みが活発に行われていて、注目を集めています。

ちなみにコンテナハウスとは違うの?

トレーラーハウスと似たようなものとして、コンテナハウスというものがあります。
コンテナハウスは貨物列車や船で荷物を運ぶ際に使われるコンテナ(容器)を転用したものです。
やはり設置する費用や手間がかからないことと、コンテナを建物代わりにするという斬新さから、店舗や事務所、宿泊施設として使われるケースが多くなってきています。

トレーラーハウスは車輪がついているため車両に該当しますが、コンテナハウスは移動させられないため建築物に該当するのが大きな違いです。
そのため、コンテナハウスを設置する際には建築確認申請が必要となり、再建築不可状態の土地に設置するにはハードルが高いと言わざるを得ません

とはいえ、コンテナハウスも建物を再建築するよりは手間がかからず低コストで設置することが可能です。
コンテナハウスについてはこちらの記事で詳しく解説しています。

結局トレーラーハウスの設置はおすすめできるのか

これまで再建築不可の土地にトレーラーハウスを設置するメリットや注意点などをご説明してきましたが、結論としてはあまりおすすめできる方法とはいえません
そもそも、接道義務を満たしていない土地にトレーラーハウスを搬入するのはかなり難しいです。
賃貸物件として運用すれば利益が入るかもしれませんが、利用者が見つからない場合は初期費用やランニングコストの支払いで赤字になってしまいます

再建築不可の土地で確実に利益を得るのであれば売却がおすすめです。
訳あり物件買取センターでは、一般的には売れにくい再建築不可物件も高額で買い取らせていただきます
物件の活用でお困りの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

【例外】広い間口を確保できる再建築不可の場合

基本的に再建築不可物件は売却するのがおすすめですが、敷地の間口が広い場合はトレーラーハウスを設置するのも一つの選択肢としてはありかもしれません
アメリカでは今、トレーラーハウスに住む人が増えてきています。
リーマンショックの原因となったサブプライムローンの問題や、ハリケーンや洪水などの災害によって、多くの人が家を失いました。
アメリカでも大きな一軒家を建てることがステータスとなっていましたが、最近は小さくても豊かに暮らしたいという価値観が高まっているようで、それを実現する手段としてトレーラーハウスが注目されているそうです。
ここまでご紹介したとおり、トレーラーハウスは新築よりも安価で設置可能です。
それなりの居住空間を確保することもでき、一定以上の生活水準を保てます
広い間口を確保できる再建築不可の土地で、「自分たちで住みたい」「立地は気に入っている」ということであれば、検討してみてもいいかもしれません。

監修者

宮野 啓一

株式会社ティー・エム・プランニング 代表取締役

国内 不動産トラブルの訴訟・裁判解決件数:150件
国内 訳あり物件売買取引件数:1150件
海外 不動産トラブルの訴訟・裁判解決件数:30件

※宮野個人の実績件数

宮野啓一

経歴

1964年、東京(六本木)生まれ。叔父・叔母がヨーロッパで多くの受賞歴を持つ一級建築士で、幼少期より不動産や建築が身近なものとして育つ。
日本大学卒業後、カリフォルニア州立大学アーバイン校(UCI)に入学。帰国後は大手ビルオーナー会社に就職し、不動産売買を行う。
平成3年、不動産業者免許を取得し、株式会社ティー・エム・プランニングを設立。同時期より第二東京弁護士会の (故)田宮 甫先生に師事し20年以上に渡り民法・民事執行法を学ぶ。
現在まで30年以上、「事件もの」「訴訟絡み」のいわゆる「訳あり物件」のトラブル解決・売買の実績を積む。
またバブル崩壊後の不良債権処理に伴う不動産トラブルについて、国内・海外大手企業のアドバイザーも兼務し数多くの事案を解決。
日本だけでなくアメリカや中国の訳あり物件のトラブル解決・売買にも実績があり、国内・海外の不動産トラブル解決に精通。米国には不動産投資会社を持ち、ハワイ(ワイキキ・アラモアナエリア)・ロサンゼルス(ハリウッド・ビバリーヒルズ・サンタモニカエリア)を中心に事業を行う。

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