再建築不可物件に救済措置はある?具体的内容から抜け道・活用術まで解説

再建築不可物件に救済措置はある?具体的内容から抜け道・活用術まで解説
2023年09月06日(水)

「再建築不可物件 救済措置」と検索してこの記事にたどり着かれた方も多いかと思います。再建築不可物件を所有していて長らく売れずに困っている、活用方法がないか探している、投資物件として購入を検討していて事前に救済策を知りたいなど、人それぞれお悩みや目的は違えど、「再建築不可物件の救済措置」を知りたいという想いは共通のはずです。

実際に再建築不可物件でも再建築できるようにするための救済措置はありますので、プロがわかりやすく解説します。また、救済措置とは別の活用方法や出口戦略もご紹介しますので、ぜひ楽しみにしてください。

なお、仲介でなかなか売れなくて困っているという方は、こちらの記事(『再建築不可物件が売れない理由|悪徳不動産の手口・仲介会社の悪習を暴露』)でその理由についてご説明していますので、併せてお読みください。

再建築不可物件の救済措置とは?

再建築不可物件とは建築基準法代43条に定められた接道義務違反によって建築許可が下りず、建て替えや増改築ができない物件のことを指します。しかし、そもそもこの接道義務は1950年に定められ、それ以前は道路に接していなくても問題なく建物が建てられました。

法律の改正によってこれまで合法的に建てられた建物が違法建築となり、建て替えや増改築ができなくなってしまうと国民生活に大きな影響が出てしまいます。そこで、原則として再建築は認めないものの、条件付きで建築許可を出す救済措置が設けられたのです。

再建築不可物件の救済措置には「包括同意基準」と「個別同意基準」という2種類があります。以下でそれぞれ詳しく見ていきましょう。

再建築不可物件、2つの救済手段
1.包括同意基準 2.個別同意基準

包括同意基準

包括同意基準とは一定の基準を満たしている接道義務違反の物件に対して特定行政庁が建築許可を出す制度です。特定行政庁とはこの場合都道府県や人口25万人以上の市が挙げられます。

注意が必要なのは基準が自治体によって異なるという点です。たとえば横浜市の場合、「その敷地の周囲に公園、緑地、広場等広い空地を有する建築物であること。」「その敷地が農道その他これに類する公共の用に供する道に2メートル以上接する建築物であること。」などの包括同意基準があります。ある自治体ではクリアしていても、別の自治体では認められないケースもあるので、物件を所管する県や市のホームページで確認しましょう。また、県と市で異なる包括同意基準が存在する場合、市のほうが適用されます。

個別同意基準

個別同意基準では包括同意基準を満たしていない物件に関して、建築審査会で個別に審査をして建築許可を下すかどうかを判断します。建築審査会は特定行政庁に置かれ、建築基準法の例外的なケースに対して審査をして建築許可を与えたり、再審査請求や不服請求に対応したりする第三者機関で、月1回程度会合が開催されます。

個別案件を都度建築審査会で審査を行う場合もあれば、一定の基準を設けてそれに基づき審査を行う場合もあり、対応は特定行政庁によってさまざまです

個別審査基準があまり使われない3つの障壁

再建築不可物件でも個別同意基準が適用されれば再建築は可能となりますが、実際には使われることがあまりなく、不動産会社の社員ですらその存在を知らない場合があります。

その理由としては手続きが非常に煩雑で手間がかかるという点が挙げられます。また、個別同意基準が適用されたとしても、接道義務違反状態が解消されるわけではありません。再建築不可物件は一般的に資産価値が低いとみなされるため、担保価値もどうしても低くなってしまいます。故に、ローンも利用しにくくなり、売却時に買い主側が買いたくても買えないという事態にもなりがちです。

個別審査基準の3つの障害
1.手続きが面倒
2.物件の担保評価が低くなる
3.ローンを借りられる金融機関がごくわずかになる

43条但し書き道路も救済措置の一つ

再建築不可物件で再建築を行う方法として「43条但し書き道路」の申請を行うという手段もあります。接道義務について定められている建築基準法第43条には、以下のような但し書きがされています。

その敷地の周囲に広い空地を有する建築物その他の国土交通省令で定める基準に適合する建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したもの
出典:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=325AC0000000201

そもそも接道義務は災害や火災が発生した際に緊急車両がスムーズに現場に到着できるよう、あるいは住民が安全避難できるようにするために定められました。道路の代替となるスペースがあれば、その目的を達成することができます。

たとえば敷地が車両が進入できるような私道や空き地、公園、緑地などに接していて、それが道路の代わりとして使えると建築審査会が認めた場合、「但し書き道路」として例外的に建築許可が下りるのです。

ただし、敷地が上記のようなスペースに隣接していることが前提となります。周囲が建物に囲まれているような敷地はそもそも43条但し書き道路の申請ができません。また、やはり建築審査会に手続きを行わなければならないので手間がかかり、申請したからといって必ずしも建築許可が下りるとは限らない点にも注意が必要です

救済措置とは別の裏技(抜け道)紹介

以上のように再建築不可物件でも再建築できるような救済措置はいくつか設けられています。しかし、実際には一定の条件を満たしていなければならず、手続きも必要であるためハードルが高いのも事実です

そこで以下のような方法をとれば再建築不可状態を解消することができ、物件の売却や再建築ができるようになります。

セットバックで接道義務対策

セットバックとは「後退」という意味です。建築基準法第43条では「敷地は幅員4m以上の道路に2m以上接していなければならない」と定められていますが、接している道路の幅が狭い場合は、自分の土地を行政に明け渡して道路扱いにしてもらうことで、接道義務を満たすことができます。セットバックの詳しいルールや手順、メリット・デメリットは以下の記事でご紹介しています。

隣家・隣地を買取り建築要件を満たす

隣家の敷地や隣地が接道義務を満たしている場合、それを買い取って合筆(土地同士を合併すること)を行えば、自分の敷地も接道義務を満たすことが可能です。敷地が広くなるというメリットも得られます。詳しくは以下の記事でご説明しています。

位置指定道路の申請をする

位置指定道路とはこれまで建築基準法上の道路として扱われなかった道を新たに道路として認めてもらう手続きのことを指します。たとえば幅4m以上の私道に接している場合、位置指定道路を申請して道路として認めてもらうことで接道義務を満たせる可能性があります

これら以外にも再建築不可状態を解消する方法はいくつかありますので、ぜひ以下の記事でチェックしてみましょう。

売却ではなく、自分で有効活用する手段もある

接道義務を満たして再建築不可状態を解消するのではなく、再建築不可状態のまま土地を活用する方法もあります。特に以下の方法であれば建築許可は不要です。

ただし、費用がかかる、失敗するリスクがあるなどデメリットも大きいため、ご自身の土地で以下のような活用方法が成り立つかを検討する必要があります

再建築不可物件|土地の活用術一例
  • 駐車場・駐輪場にして収益を上げる
  • 太陽光発電設備を導入し電力販売をする
  • コンテナハウスにする
  • トレーラーハウスにする
  • 家庭菜園にする
  • 貸し農園にして収益を出す
  • 賃貸に出し家賃収入を得る
  • 資材置き場にして収益を出す

特に再建築不可物件の利用方法として最近注目されているのはコンテナハウスやトレーラーハウスなどです。これらを設置すれば貸し物件や倉庫などに活用でき、利益を得られる可能性があります。興味がありましたら以下の記事もご覧ください。

救済措置が解決策ではないかも。売却できない本当の原因はなに?

不動産仲介会社で専任媒介契約や一般媒介契約などを締結して半年以上売れてない場合は明らかにおかしいです。おそらく再建築不可にいろいろ情報収集をされて救済措置を調べられている方であれば、薄々感づいていらっしゃるかもしれません。そもそも東京や神奈川は不動産需要が高いエリアなので、どんな物件でもだいたい3ヶ月もあれば買い手がつきます。そのような売り手市場の中でも長期間売れていないのであれば、残念ながら今後も売れることはないでしょう。

この背景には不動産業界の闇があります。今お願いしている仲介会社は本当に物件を売ろうとしてくれていますか?お客さんにおすすめするなど動いてくれていますか?

不動産業界は一般世間の常識とは全く異なる常識や倫理観で動いています。一般の方が「裏切りだ!」「詐欺だ!」と思うようなことでも、不動産業界の中では常識だったりするのです。

仲介会社に依頼しても物件が売れない理由を知りたい方、それでも売却したい方は、『再建築不可物件が売れない理由|悪徳不動産の手口・仲介会社の悪習を暴露』も必ずお読みください。

まとめ

書類を出して握手する二人再建築不可物件を再建築可能にする方法、あるいは活用する方法はさまざまあるのですが、デメリットも少なからず存在するため慎重に検討する必要があります。やはりコストと手間をかけたくないのであれば、そのまま売却してしまうのが一番いいかもしれません。ただし、不動産仲介会社を通じて売りに出した場合、半年経っても1年経っても、なかなか売れない可能性も高いです。

そこで訳あり物件買取センターにお任せください。弊社は再建築不可物件であっても高値での買い取りが可能です。査定額ではなく実際の買取額をご提示するので安心。買い手は弊社となるためスピード買取を実現契約成立後最短でその日のうちに代金のお支払いも可能です

再建築不可物件を高値で売りたい方、なかなか売れなくて困っている方は、こちらのページからお問い合わせください。

監修者

宮野 啓一

株式会社ティー・エム・プランニング 代表取締役

国内 不動産トラブルの訴訟・裁判解決件数:150件
国内 訳あり物件売買取引件数:1150件
海外 不動産トラブルの訴訟・裁判解決件数:30件

※宮野個人の実績件数

宮野啓一

経歴

1964年、東京(六本木)生まれ。叔父・叔母がヨーロッパで多くの受賞歴を持つ一級建築士で、幼少期より不動産や建築が身近なものとして育つ。
日本大学卒業後、カリフォルニア州立大学アーバイン校(UCI)に入学。帰国後は大手ビルオーナー会社に就職し、不動産売買を行う。
平成3年、不動産業者免許を取得し、株式会社ティー・エム・プランニングを設立。同時期より第二東京弁護士会の (故)田宮 甫先生に師事し20年以上に渡り民法・民事執行法を学ぶ。
現在まで30年以上、「事件もの」「訴訟絡み」のいわゆる「訳あり物件」のトラブル解決・売買の実績を積む。
またバブル崩壊後の不良債権処理に伴う不動産トラブルについて、国内・海外大手企業のアドバイザーも兼務し数多くの事案を解決。
日本だけでなくアメリカや中国の訳あり物件のトラブル解決・売買にも実績があり、国内・海外の不動産トラブル解決に精通。米国には不動産投資会社を持ち、ハワイ(ワイキキ・アラモアナエリア)・ロサンゼルス(ハリウッド・ビバリーヒルズ・サンタモニカエリア)を中心に事業を行う。

対象エリア東京都・神奈川県

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