再建築不可の裏ワザや抜け道を専門家が徹底解説! ~賢く得するためには~

再建築不可の裏ワザを専門家が徹底解説!~賢く得するためには~
2023年01月24日(火)

「自分の土地が再建築不可物件だったと知って困っている」「再建築不可物件にどうにかして建物を建てたい」「再建築不可物件を活用できずに持て余している」……このようなお悩みはありませんか?

法的に建物を建てることが認められていない再建築不可物件ですが、ある方法を使えば建てられないこともありません
今回は再建築不可物件を建築可能にする裏ワザや抜け道についてご紹介します。

建物が再建築不可になるケース

再建築不可物件とは法律で新築や増築、改築などが認められていない物件のことを指します。
建築物を建てる際には建築基準法という法律に従わなければなりません。
この法律では建物が建てられる敷地の条件についても定められています。

建築確認申請を行って行政や検査機関がチェックした結果問題なければ、建築許可が下りて建築工事ができるようになります。
そのままでは建築基準法違反の状態となっているため建築許可が下りないような物件が再建築不可物件となります

主に「接道義務違反に該当する」「敷地が市街化調整区域に指定されている」という2点が再建築不可物件となる要因として挙げられます。
それぞれ詳しく見ていきましょう。

接道義務違反

再建築不可になってしまう原因として挙げられるのが接道義務違反です。
敷地が道路に接していない、接している道路の幅が狭い、接している間口が狭い、接している道路が法律上の基準を満たした道路ではないといった理由で再建築不可物件となってしまうケースが非常に多いのです
市街地にあるほとんどの再建築不可物件は、この接道義務違反が原因となっていると言っても過言ではありません。

とりわけ多いのが、接道義務が設けられた1950年以前に建てられた建築物が、今の建築基準法の基準に合致せずに違法状態となってしまっているケースです。
特に築年数が古い物件を再建築する場合は、接道義務をしっかりと満たしているかどうかを確認されることをおすすめします。

接道義務とは

建築基準法第43条には「建物を建てる敷地は建築基準法上の道路に2m以上接していなければならな」と定められています。
これを接道義務と言います。
どのような道を道路とみなすかは建築基準法第43条で定義されており、国道や都道府県道、市区町村道や都市計画法等による道路、位置指定道路などが該当し、幅員4m(一部地域では6m)が必須条件となっています
たとえば個人が所有している私道である場合は、幅員4m以上あって人や車が通行していたとしても、法律上の道路にはなりません。

こうした接道義務は災害時に緊急車両が安全に通行でき、住民がスムーズに避難できるようにする目的で設けられました。

詳しくは、「接道義務違反で再建築不可に! 接道義務とは?どんな問題が?」をご覧ください。

市街化調整区域の土地

敷地がある地域が市街化調整区域に該当していると、やはり建物を建てることが認められません。
特に郊外ではこれが要因になっているケースも多いです。
周りに田んぼや畑、山や森林、河原が広がっていて建築物がほとんど建っていないようなエリアは市街化調整区域に指定されている可能性があります。

市街化調整区域とは

都市計画法第7条では、「都市計画に市街化区域と市街化調整区域を定めることができる」とされています。
どこにでも建物を建てたり開発行為を行ったりすることができてしまうと、自然環境の破壊や景観の悪化を招いてしまいます。
そこで、無秩序な市街化を防止する目的で、こうした区分ができるようになったのです。

もとから市街化している地域や市街化を図るべき地域は市街化区域に、逆に市街化を抑制すべき地域は市街化調整区域に指定されます。
規模の大小に関わらず、市街化調整区域で開発行為や建築を行う際には、原則として都道府県知事からの許可を得なければなりません

建築可能にする裏ワザ・抜け道”接道義務違反編”

再建築不可物件で建築ができないのには、以上のような法律上の問題があるのが原因です。
しかし、まったく再建築ができないかと言われれば、そういうわけでもありません。
再建築不可物件であっても、法律上の基準をクリアにすれば、建て替えや増改築ができるようになります

接道義務違反に該当する物件の場合、以下のような裏ワザや抜け道を使うことで、再建築可能な状態にできる可能性があります。

隣地の買取 隣の土地が接道義務を満たしている場合は、隣地を買収して合筆(土地の合併)することで再建築が可能になります
敷地面積が今よりも広くなるというメリットもあります。
ただし、土地の買収に費用と手間がかかるのがデメリットです。
隣地を借りる 隣地を買収するのではなく借りて合筆することでも接道義務を満たすことができます
特に旗竿地の場合は2mの間口として必要な分だけ一時的に隣地を借りて工事を行うことがあります。
賃料を支払う必要がありますが、買収よりも安く抑えることが可能です。
セットバック 接している道路の幅員が足りない場合、自分の土地をセットバック(後退)させ、その分を行政に明け渡して道路にしてもらうことで、接道義務を満たせる場合があります
金銭的な負担は少ないですが、セットバックした分だけ土地が狭くなってしまうのがデメリットです。
但し書き規定の申請をする 道路の代わりとして使える場所がある場合、それを道路としてみなしてもらうことで、建築許可が下りることがあります。いわゆる但し書き道路にするということです。
具体的には広大な公園、広場、私道、農道などが挙げられます。
ただし、そもそも敷地がこれらに接していないと、但し書き申請をすることができません。
道路の位置指定申請 位置指定とは、これまで道路として扱われてこなかった土地を、新たに道路として認めてもらう手続きです
たとえば4m以上の私道に接している場合、それを位置指定してもらうことで、接道義務を満たせる可能性があります。
等価交換(旗竿地限定) 基本的な考え方は土地の買収と同じで、隣地を使って接道義務を満たします
旗竿地の場合は道路への間口を広げるために土地を譲ってもらう代わりに、奥まった部分の土地を譲り受けた土地と同じ面積分明け渡すという、等価交換を行うこともあります。

以上のように、実は再建築不可物件を再建築可能な状態にするための裏ワザはいくつかあります。
どうしても建物を建てたい場合は、以上のような方法を選択することで、建築許可申請が下りる可能性があります。
ただし、その敷地や隣地の状態や立地などによってできることとできないことがありますので、どの方法が有効なのかをしっかりと検討することが大切です

建築を可能にする裏ワザがあるとはいえ、簡単に出来てしまうことであれば裏ワザとは呼ばれません。
詳しくは、「再建築不可は建て替え可能にできるが… 一筋縄ではいかない実情とは?!」をご覧ください。

建築可能にする抜け道・裏ワザ”市街化調整区域編”

以上、接道義務を満たしていない物件を再建築可能な状態にするための裏ワザについて解説しました。
ハードルは決して低くないのですが、再建築不可物件に建物を建てる手段があることはおわかりいただけたかと思います。

市街化調整区域に指定されていて再建築不可になっているパターンであっても、同様に建築可能な状態にするための抜け道が存在します
ここからはその方法について見ていきましょう。

市街化調整区域の再建築可能な条件

前述のとおり、市街化調整区域は無秩序な開発を規制するエリアであり、建築物を建てることは原則として認められていません。
しかし、ある条件に当てはまっていれば、市街化調整区域内であっても再建築行為が認められる場合があります
その条件について見ていきましょう。

地域に需要があり貢献できる建物の再建築

市街化調整区域内であっても、地域に必要な施設であれば建築は可能です。
具体的には学校や図書館、公民館などの公共施設、小売店や理美容院、宿泊施設などの店舗、遊園地やゴルフ場などのレジャー施設、発電所や変電所、お寺や墓地などが挙げられます。

もとの所有者の親族が自分で住む場合の再建築

土地の所有者か親族が所有者であり、かつ自らか親族が住む住宅の場合は再建築が可能です。
親族の土地に自分が住む、あるいは自分の土地に親族が住む場合は6親等(はとこ、玄姪孫など)以内、一部地域では3親等(おじ、おば、曾孫、甥・姪など)以内の親族であることが条件となります
この手段を用いて再建築する場合は、土地の所有者や住む人が自分とどのような関係にあるのか?そして自治体がどのような条件を設けているのか?を確認しましょう。

区域指定前の既存宅地での建て替え

その土地が市街化調整区域に指定している前から存在する住宅を建て替える場合も、再建築が認められます。
ただし、「建て替え後も建築物を同じ用途で使うこと」「建て替え後も同じ敷地内に建物があり、同じ規模であること」が条件となります。
店舗を住宅に建て替えたり、大きな家に建て替えたりといったことは認められません。

開発許可の取得

上記のようなケースに当てはまらない場合、基本的には都道府県知事から開発許可を取得しなければなりません。
開発許可を取得する場合、申請手続きを行わなければならず、しかも必ずしも許可が下りるとは限りません。
都道府県によって条件が異なり、それを満たす必要があるため、一般の方にとってはかなりハードルが高くなります。

開発許可のいらない活用方法

とはいえ、市街化調整区域内の土地はまったく活用できないかといえば、そういうわけでもありません。
前述のとおり、その地域に必要な施設を建てるケースや親族が所有している土地に自宅を建てる場合、逆に自分が所有している土地に親族の自宅を建てる場合、既存住宅がある場合は建築行為が可能です

自宅を建てる以外の方法でなければ、以下のような施設を設けて活用する方法が考えられます。

1.太陽光発電

太陽光発電所は建築物に該当しないとみなされ、しかも地域に貢献できる施設と言えるので、市街化調整区域でも設けられる可能性が高いです。
発電した電気を電力会社に売ることで、売電収入を得ることができます。
ただし、太陽光発電書を建設する過程で切土や盛土などの造成行為を行う場合は、建築許可申請が必要となります。
また、敷地が山の影に隠れる地域や降水量が多い地域である場合は、発電量が少なく、十分な売電収入が得られず、赤字になってしまうリスクもあります

2.駐車場

駐車場についても屋根や壁などを設けなければ、開発許可を取得しなくてもいい可能性があります。
月極駐車場やコインパーキングにすれば、利用料収入を得ることが可能です。
ただし、そもそも市街化調整区域は郊外であり、周辺の開発が進んでいない状態となっていますので、そうしたエリアに駐車場を設けても、需要がない可能性があります

なぜこれらの裏ワザや抜け道はあまり知られていないのか

これまでご紹介したように、再建築不可物件を再建築可能な状態にするための裏ワザ・抜け道はいくつもあります。
しかし、これらは一般的にはあまり知られていません。
その理由としては再建築不可物件が少数であることも関係しているのですが、ハードルが非常に高いというのが大きな要因であると考えられます。

誰でも簡単にできるノウハウであれば、一般的に幅広く知られていてもおかしくありません。
前述のように、簡単にできないから裏ワザなのです。
たとえば隣地を買収して接道義務を満たすためには、そもそも隣地が接道義務を満たしていてかつ隣人に土地を売却する意思があることが前提で、買収費用や登記費用などを支払わなければならず、交渉や登記手続きを行う必要があります。

コストと手間が非常にかかり、実際に実行している人が少ないから、裏ワザという扱いになってしまうのです

再建築が確実にできなくなる可能性

裏ワザは必ず成功するわけではないことにも注意が必要です。
たとえば隣地を買収する場合、隣人が売却に応じてくれなければ、そこで話は終わりとなってしまいます。
隣の公園を用いて但し書き指定の申請を行ったとしても、それが認められない場合があります。
裏ワザを使っても失敗してしまった場合、再建築が不可能となってしまいます。
実行するために使った労力やコストも戻ってきません。

再建築ができないという結果になってしまった場合、その物件をそのまま維持するか、売却するしか手段がなくなってしまいます

まずは専門業者にご相談ください

再建築不可物件を再建築可能な状態にする方法も数多くあるのですが、どれもハードルが高く、確実に成功する保証もありません。
そこまで手間とお金をかけてまで、再建築可能な状態にする必要があるのかどうかをまず考えてみましょう

再建築不可物件を活用して確実に利益を得たいというのであれば、売却も検討されることをおすすめします。
訳あり物件買取センターは再建築不可物件などの訳あり物件に特化した物件買取専門会社です。
物件の活用ノウハウがあり、他の不動産会社や買取業者で断られたような物件も、高値で買取らせていただきます

再建築不可物件の活用や売却をお考えでしたら、ぜひご相談ください。

監修者

宮野 啓一

株式会社ティー・エム・プランニング 代表取締役

国内 不動産トラブルの訴訟・裁判解決件数:150件
国内 訳あり物件売買取引件数:1150件
海外 不動産トラブルの訴訟・裁判解決件数:30件

※宮野個人の実績件数

宮野啓一

経歴

1964年、東京(六本木)生まれ。叔父・叔母がヨーロッパで多くの受賞歴を持つ一級建築士で、幼少期より不動産や建築が身近なものとして育つ。
日本大学卒業後、カリフォルニア州立大学アーバイン校(UCI)に入学。帰国後は大手ビルオーナー会社に就職し、不動産売買を行う。
平成3年、不動産業者免許を取得し、株式会社ティー・エム・プランニングを設立。同時期より第二東京弁護士会の (故)田宮 甫先生に師事し20年以上に渡り民法・民事執行法を学ぶ。
現在まで30年以上、「事件もの」「訴訟絡み」のいわゆる「訳あり物件」のトラブル解決・売買の実績を積む。
またバブル崩壊後の不良債権処理に伴う不動産トラブルについて、国内・海外大手企業のアドバイザーも兼務し数多くの事案を解決。
日本だけでなくアメリカや中国の訳あり物件のトラブル解決・売買にも実績があり、国内・海外の不動産トラブル解決に精通。米国には不動産投資会社を持ち、ハワイ(ワイキキ・アラモアナエリア)・ロサンゼルス(ハリウッド・ビバリーヒルズ・サンタモニカエリア)を中心に事業を行う。

対象エリア東京都・神奈川県

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