うちが建て替えできない再建築不可物件?!こんなことってある?解決方法を解説
目次
「家を売却しようとしたのに、ほとんど値段がつかなかった!どうして?」
住み替えのタイミングで、今まで住んでいた古い家を売却したいのに、いざ査定に出してみると「二束三文にしかならなかった」という「信じられないようなケース」が稀にあります。
なぜそうしたことが起こるのでしょうか?
理由はさまざま考えられますが、1つの理由としては「その建物が、建て替えできない『再建築不可物件』だったから」という場合もあります。
再建築不可物件とは、その名の通り、今ある建物を壊して、新しい建物を建てることができない物件のことをいいます。
今回のコラムでは「再建築不可物件」に関するニュース記事や、悩まされているお客さまから寄せられた「実例」をもとに「建て替えできない『再建築不可物件』のトラブルを解決するベストな方法」ついて解説します。
以下のようなお悩みがある方は、ぜひチェックしてみてください。
【このようなお悩みがある方にオススメの記事です】
- 建て替えできない「再建築不可物件」を売却する方法が知りたい
- 忙しいため、自分の負担は最小限で「再建築不可物件」のトラブルを解消したい
銀行融資が通らない!「再建築不可物件」とは?
最初に「livedoor NEWS」に、とても興味深い記事がありましたので、ご紹介いたします。
タイトルは「法律的な違反はなし 埼玉県に「ほぼ死に地」が誕生した訳」です。
こちらの記事では、現実に起こりうる「再建築不可物件の落とし穴」について、解説しています。
引用元:法律的な違反はなし 埼玉県に「ほぼ死に地」が誕生した訳
この記事のポイントを、簡潔にまとめると以下の通りになります。
livedoor NEWSのポイントまとめ
- 埼玉県草加市にある自宅を売却しようと考えたが、査定額は「800万円」だった
- 相場では3000万円ほどが見込めるにもかかわらず、1/4ほどの値段しかつかなかった
- 低い査定額だった理由は「銀行融資」が通らない「再建築不可物件」だったから
「自宅を売却しようと考えたが、相場の1/4程度の金額にしかならなかった。その理由は、建て替えできない再建築不可物件だったから」というのが本記事の内容です。
このようなことが起きたら、非常にショックですよね。
しかし、あなたの自宅が、もしも「再建築不可物件」だったならば、こうしたことは現実に起こってしまうんです!
「再建築不可物件」とは、新しく建て直すことができない物件のことを指す言葉です。
現在の日本の建築基準法では、なんらかの自然災害や火災等が発生した際に、すぐに逃げ出せるように「4m以上の幅がある公道」に2m以上、接していることが義務付けられています。
このことを「接道義務」というのですが、接道義務を果たしていない場合には「再建築不可物件」となり、建物の再建築ができなくなってしまうのです。
具体的には、以下のようなケースが、再建築不可物件です。
なぜ、銀行融資が通らなかったのか?
さて、ニュース記事で取り上げた物件が、「なぜ銀行融資が通らなかったのか」についても、理由を解説したいと思います。
銀行というものは、「物件そのものを担保」にして住宅ローンを通すのが一般的です。
万が一、家主が住宅ローンを支払えなくなったとしても、担保にした物件を競売にかけて換金すればいいという考えのもと、そのようにして住宅ローンの審査を通しています。
ところが、再建築不可物件の場合、先述した通り「建て直しができない」という性質があるため、仮に競売に掛けたとしても、売り手が見つかる可能性がきわめて低いです。
そのため、担保にしても「担保の役割を果たせない可能性がある物件」なので、銀行側は「貸倒れのリスク」があると考え、ローン審査を通してくれないのです。
これは、意外と知られていない「再建築不可物件の落とし穴」といえるでしょう。
再建築不可物件の場合、ニュース記事の事例のように、家を売却したいとなっても「市場価格の1/4程度」の値段しかつかないことも。
一言でいえば、建て替えができない再建築不可物件とは「損」をする可能性が非常に高い「リスク物件」なのです。
できれば物件本来の価格で売りたい!自分で解決する方法はある?
再建築不可物件のリスクについては、ご理解いただけたのではないかと思います。
さて、あなたの所有しているご自宅が今回のlivedoor newsの事例のように、ご自宅と道路の間に第三者の所有地があった場合、「再建築不可物件」のレッテルを取り除き、適正価格で物件を売却するには、どうすればよいのでしょうか?
結論からいえば、以下の「4ステップ」を踏んでいくことになります。
再建築不可物件の問題を自分で解決する4STEP
1.問題の土地や道路の「所有者」を突き止める
市役所等で調査を行い、再建築不可の原因になっている土地や道路の所有者を探し出す
2.問題の土地や道路の所有者の「名義変更」を行う
所有者と交渉を行い、場合によっては金銭の授受により土地や道路を「自分の所有」にする
3.(話し合いが決裂した場合)「裁判」を起こす
所有者との話し合いが難航した場合、最終的には「法廷で決着をつける」ことになる。弁護士を手配し、粛々と話し合いを進める
4.結論が出る
問題の土地や道路の所有者が「誰になるのか」が決まる。場合によっては、示談によって決着がつく場合もある
つまり、所有者を探して、譲ってもらえないか交渉し、私道の名義を自分に変更して、再建築不可のレッテルを取り下げるといった手順です。
わかりやすいよう「4STEP」でまとめましたが、ここまでの作業を行うのには、並々ならぬ「費用と時間」がかかります。
こういったケースの場合、短く見積もって2~3年くらいの時間を要します。さらに、交渉も難航し、うまくまとまらないまま「決裂する」といったことがほとんどです。
また、仮に裁判沙汰になった場合、弁護士費用だけでも500万円近くに達することも少なくありません。
裁判になった場合、示談で解決できればベストですが、「解決できるかどうか」の保証が一切ない点についても、知っておくべきです。
ご自身で、不動産仲介業者や弁護士などのパートナーのコントロールも行う必要があるため、仕事や家事にも支障が出る可能性が高いことも認識しておくべきでしょう。
再建築不可物件の問題解決は想像以上にハード
4STEP上には出てこない「さまざまな確認作業」も発生するため、家主の方が1人で問題解決に挑むのは「想像以上にハード」なことです。
たとえば、再建築不可の原因となっている私道そのものが、建築法上の道路として認められる「位置指定道路」であるか否かが「代表的な確認事項」です。
「位置指定道路」とは、私道であり、なおかつ、建築法上の道路としての要件を満たしている道路のことを指します。
もしも、問題になっている私道が「位置指定道路」ではなかった場合、問題の私道を「要件を満たす道路」にするための調整作業も追加で行う必要があります。
私道が「位置指定道路」ではない場合、道路の名義変更をできたとしても、結局は、建て替えできない再建築不可物件のままだからです。
というわけで、仕事や家事をこなしながら、問題の土地や道路の「名義変更」を成功させるのは、並大抵のことではないのです。
損をしない最良の解決方法は「訳あり物件の買取業者」への相談
前項を通じて「知識ゼロの状態で素人が問題解決するのは大きなリスクがある」ということは、ご理解いただけたのではないかと思います。
それでは、一体、どういった解決方法が一番スマートなのでしょうか。
結論からいえば「訳あり物件を専門に取り扱う買取業者に売却する」のがベストです。
訳あり物件とは、建て替えできない再建築不可物件をはじめとして、買い手がつきにくい「トラブル物件」の買取を専門に行っている業者のことをいいます。
知識ゼロの状態から「問題を解決しよう」と意気込むのではなく、「再建築不可物件のトラブル処理に長けた専門家」に相談するというのが、もっとも手離れがいい解決方法なのです。
なぜかといえば、先ほどご紹介したような「一連の確認作業」や「不動産や弁護士などの専門家のマネジメント」などは、大きな労力を費やしますし、並々ならぬ知識と経験がないと、どうしても失敗するリスクが大きいからです。
一方、訳あり物件の買取業者の場合、弁護士や司法書士、不動産コンサルタント、リフォーム会社などの専門家集団とチームを組んで、問題解決に当たるため、問題解決できる可能性が高いです。
「再建築不可物件は、訳あり物件の買取業者に相談するのが鉄則」と、覚えておきましょう。
不動産仲介会社に相談するのは意味がない
不動産のトラブルというと「街の不動産仲介業者」に相談すればいいのではと勘違いしがちですが、実は「大きな間違い」です。
彼らはあくまで「買い主を探す」というのが仕事であり、不動産トラブルの専門家ではありません。結局のところ、建て替えできない再建築不可物件を欲しがる人などそうそういませんので、買い手が見つからないでフェードアウトされてしまうのがオチです。
再建築不可物件を「適正価格」で売却したいのならば、訳あり物件を専門に取り扱う業者に相談してみましょう。
一番重要なのは業者選び
「再建築不可物件は、買取業者に売却するのがベスト」という点については、ご理解いただけたのではないかと思います。
しかし、買取業者ならば「誰でもOK」というわけではありません。
その点についても、ぜひ頭に入れておいてください。
なぜかといえば、それは「二束三文で買いたたく買取業者もいるから」です。
当然のことですが、あなたが「損をするか得をするか」は、結局のところ「いくらで売れたか」に尽きます。ですから、適正価格でしっかりと買い取ってくれる業者に依頼するのが、何よりも重要なのです。
手口としてよくあるのが「“瑕疵(かし)担保責任”を理由にした買いたたき」です。
「瑕疵(かし)」とは、一言でいえば「キズ・欠陥」のことです。
つまり「瑕疵担保責任」とは、建物にキズや欠陥があった場合、物件の購入者は、売主に対して「損害賠償請求」を行えるというものです。
損害賠償請求というと、ものものしいですが、裁判沙汰に持ち込むとかそういうことではありません。
物件に欠陥がある場合には、その分をマイナスとみなして「売却価格から値引きする」のが実情です。
「瑕疵」の種類はさまざまあります。
ざっと挙げるだけでも、以下の通りです。
「瑕疵担保責任」が問われる欠陥の例
物理的瑕疵 | 環境的瑕疵 | 心理的瑕疵 |
---|---|---|
雨漏りが発生している 家が傾いている シロアリやハチなどの害虫 基礎部分が腐食している 建築基準を満たしていない |
飲食店の強烈な臭い 鉄道などの振動が強い 下水処理場の悪臭 踏切の音 |
自殺や他殺などの事件 近隣に暴力団事務所がある |
「こんな理由で値引きされるの?」と、驚きますよね。
しかし、どれも瑕疵担保責任に問われる可能性がある欠陥なのです。
ケースバイケースなので、必ずしも上記の理由があるから、損害賠償を求められるわけではありません。しかし、買取業者は、なんらかの理由をつけて「瑕疵担保責任」を主張し、売却価格から「大幅値引きを強要する」といったケースが後を絶たないのです。
そのため、契約前に「瑕疵担保責任」については、必ず確認するようにしてください!
それが、損をしないための鉄則です。
具体的にいえば、不動産業者との間に「瑕疵担保責任を問わないという約束」をしてください。そして、その約束を契約書で残すようにしてください。
いくら口で「瑕疵担保責任は問わないようにします」といっても、基本的には「瑕疵担保責任」は売主側が負うものと法律で定められているため、裁判で争った場合には、勝てない可能性が高いです。ですから、必ず書面で残しておくことも心がけてください。
加えて「全額一括支払い」を約束してくれる業者にしましょう。
契約書交付と同時に、現金振り込みを行ってくれるような買取業者であれば、あなたが損をする確率はほぼゼロになるはずです。
まとめると以下の通りです。
再建築不可物件を、買取業者に売却する際には、以下3点を頭に入れておいてください。
再建築不可物件を売却する際の3つのポイント
1.契約する前に「瑕疵担保責任」を確認する
物件売却の契約を結ぶ前に「瑕疵担保責任の取り扱い」について確認しておきましょう。加えて、契約書もしっかりとチェックしておきましょう
2.「瑕疵担保責任は問わない」との言質を取る
売却前に、契約内容を確認し、売却後の瑕疵担保責任の有無について確認しておきましょう。瑕疵担保責任を問わないという言質がとれれば、後から値引き請求される可能性はグッと減らせます
3.「全額一括支払い」を条件にする
物件の売買契約後、全額一括支払いでないと、後になって「瑕疵担保責任」を理由に値引きを迫られる可能性があります。そうならないためには、分割払いではなく、契約と同時に「全額一括支払い」を約束してもらうのが安心です
訳あり物件買取センターでは、物件の売買契約後に、瑕疵担保責任を理由に「売却価格の値引き」を迫るようなことは一切ございません。
「適正価格での買取」「全額一括支払い」をモットーに、お客さまが「得をした」と思っていただけるような、誠実買取を行っています。
再建築不可物件も、近隣トラブルのある訳あり物件も、私たちにご相談ください。
お力になれる自信があります。
《当社事例紹介》お客さまから寄せられたご相談の概要
これまでの記事を通して「自宅が建て替えできない再建築不可物件だった場合のトラブル解決法」について、詳しく解説してきました。
実は、冒頭で取り上げたニュース記事のような事例は、当社でも取り扱ったことがあります。
お客さまの物件は、戸塚駅から徒歩10分程度の場所にある「一戸建て」です。
戸塚駅は、JR東海道線と市営地下鉄のブルーラインが乗り入れている駅で、新宿や渋谷まで40分程度と好アクセス。さらに治安も良いため「ファミリー層に人気のベッドタウン」として知られています。
仮に、徒歩10分、100㎡程度の新築一戸建ての場合、条件にもよりますがSUUMOなどで検索すると「5000万円~6000万円」程度の価格で売買されているようです。
というわけで、ご相談いただいたお客さまの物件は、立地や環境面で考えると「好条件」といえそうですね。
ところが「住み替え」のタイミングで物件を売却しようと考えた際に、査定を依頼したところ、なんと建て替えできない「再建築不可物件」ということが判明したのだそうです。
当然のことながら、納得のいく売却価格がつかなかったため、売却をいったん断念したのだそうです。
お客さまの物件の状況をイラストに起こすと、以下の通りです。
緑色の部分が、お客さまの物件、赤い部分が、私道です。
このように、お客様の物件は、他人の所有している私道に接しています。
先述の通り、建築法上認められた4m以上の幅がある道路に「2m以上接している」必要がありますが、お客さまの物件は、他人の所有している私道に接しているだけなので「接道面がない」ということになります。
したがって、「再建築不可物件」という烙印を押されてしまうというわけです。
ご相談いただいたお客さまは「物件を適正価格で売却したい」という強い希望がありました。どうにも納得できなかったお客さまは「この問題を何とか解決して適正価格で売却したい!」との思いを抱いたため、当社までご相談いただいた次第です。
こちらについて詳細は動画で解説を行っています。ご興味のある方は下記よりご視聴ください。
戸塚の再建築不可物件の「現状」について
戸塚のこの物件については、現在、当社がさまざまな専門家と連携しながら、問題解決に当たっています。
現状における「取り組み内容」は以下の通りです。
- 物件の「所有者」調査
- 「私道の売却」に関する所有者との交渉
- 私道が「位置指定道路なのか」に関する調査
- 裁判も見据えた中長期的な戦略立案
専門家がワンストップで問題解決に当たるため「お客さまのご負担はほぼゼロ」です。
再建築不可物件の場合、法律関係の知識や交渉事が非常に多いため、1人では解決がむずかしいケースがほとんどです。
もしも、困ったことがあれば、専門家集団の「訳あり物件買取センター」までご相談ください。
当社が実際に買い取った、建て替えできない「再建築不可物件」の事例は、以下の記事の後半にまとめて記載しています。気になる方は、是非チェックしてみてください。
◎以下の記事も併せてご覧ください。
宮野 啓一
株式会社ティー・エム・プランニング 代表取締役
国内 | 不動産トラブルの訴訟・裁判解決件数:150件 |
国内 | 訳あり物件売買取引件数:1150件 |
海外 | 不動産トラブルの訴訟・裁判解決件数:30件 |
※宮野個人の実績件数
経歴
1964年、東京(六本木)生まれ。叔父・叔母がヨーロッパで多くの受賞歴を持つ一級建築士で、幼少期より不動産や建築が身近なものとして育つ。
日本大学卒業後、カリフォルニア州立大学アーバイン校(UCI)に入学。帰国後は大手ビルオーナー会社に就職し、不動産売買を行う。
平成3年、不動産業者免許を取得し、株式会社ティー・エム・プランニングを設立。同時期より第二東京弁護士会の (故)田宮 甫先生に師事し20年以上に渡り民法・民事執行法を学ぶ。
現在まで30年以上、「事件もの」「訴訟絡み」のいわゆる「訳あり物件」のトラブル解決・売買の実績を積む。
またバブル崩壊後の不良債権処理に伴う不動産トラブルについて、国内・海外大手企業のアドバイザーも兼務し数多くの事案を解決。
日本だけでなくアメリカや中国の訳あり物件のトラブル解決・売買にも実績があり、国内・海外の不動産トラブル解決に精通。米国には不動産投資会社を持ち、ハワイ(ワイキキ・アラモアナエリア)・ロサンゼルス(ハリウッド・ビバリーヒルズ・サンタモニカエリア)を中心に事業を行う。
再建築不可物件に関する
疑問はここで解決!
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