再建築不可物件のリフォームは可能?訳あり物件のプロが教える得する考え方

再建築不可物件のリフォームは可能?訳あり物件のプロが教える得する考え方
2023年10月31日(火)

再建築不可物件を活用する手段として、リフォームするという方法もあります。
ご自身が住まなくても、賃貸物件として貸し出せば家賃収入を得ることも可能です。
しかし、再建築不可物件のリフォームはハードルが高いのも事実です。

この記事では再建築不可物件はリフォームできるのかどうか、できるとしたらどのような点に注意すればいいのかということについてご説明します。

再建築不可とは

再建築不可物件とは、その名の通り再度建築することが認められない物件のことを指します。
建物は建築許可を得た上で、建築基準法に則って建てなければなりません。
建築基準法第43条では、「建築物は幅員4m以上の道路に2m以上接していなければならない」という接道義務が定められています。
再建築不可物件は道路に接していないがために建築許可が下りないのです。

接道義務が定められたのは1950年であり、それ以前は道路に接していなかったとしても建物を建てることができました。
1950年以前に建てられた建物が現行の建築基準法の規制に合致しなくなったがために、再建築不可物件となってしまうケースが非常に多いのです。

再建築不可物件はリフォームできる?

結論からいうと一定の条件さえ満たしていればリフォームは可能です。
基本的に間取りをガラッと変える、構造部を半分以上交換するといった、大規模な修繕や模様替え、フルリフォームに関しては建築確認申請が必要となります

一方で柱や梁を一部のみ変更するような比較的小規模なリフォーム、10㎡以下の増築であれば建築確認申請は不要です。また、柱と梁を残して内外装をすべてつくり変える、いわゆる「スケルトンリノベーション」に関しても建築確認申請は不要なので工事可となります。特にスケルトンリノベーションであれば、フルリフォームに近い感覚で物件をガラリとつくり替えることができます

再建築不可物件でリフォーム可能な内容

以上のように一定の条件を満たしていれば、再建築不可物件であってもリフォームすることは可能です。
外観が老朽化している、内装が汚くなっているとしても、建て替えではなくリフォームを行うことで物件の資産価値が大幅にアップできる可能性があります

ここからは再建築不可物件でもリフォームをする方法を詳しくご紹介しますので、こちらも参考に検討してみてください。

再建築不可物件のでリフォーム可能な内容

柱と梁を残してリフォームする

建築基準法上では建物の構造、つまり柱や梁を変更する行為は改築とみなされ建築確認申請が必要となります。逆にいえば柱と梁さえ残しておけば問題ないということになるのです

柱や梁といった建物の骨組みだけを残して、それ以外をすべてつくり変えることをスケルトンリノベーションといいます。スケルトンリノベーションを行うことで、内外装がすべて新しくなるため、建物がまるで新築のように生まれ変わります。また、一度柱や梁のみの状態にすることで補強工事を施すことも可能です

再建築不可物件は築年数が古く、内外装はもちろん構造も劣化している可能性があるため、建物の安全性を向上させるという意味でもスケルトンリノベーションはおすすめです。

柱と梁の半分まで取り替えるリフォーム

構造部分の変更が半分以下であれば建築許可申請は不要です。たとえば40本の柱を使っているとすると、20本以内であれば交換が可能です。

スケルトンリノベーションを前提に内外装を取り壊して柱や梁の劣化状態を調査した上で、問題があるもののみを取り替えるということもできます。その後は上記のように内外装を新しいものにつくり替えます。

安全性の面ではすべての柱と梁を取り替える、あるいは建て替えをしたほうがいいのは当然ですが、老朽化が著しいものだけを取り替えるだけでも建物の耐久性や耐震性は大きく変わってきます。スケルトンリノベーションを行う際には柱と梁の点検も実施されることをおすすめします。

10㎡以下の増築 ※防火地域、準防火地域以外

再建築不可物件では増築もできませんが、防火地域、準防火地域に指定されている地域以外で、かつ10㎡以下の増築であれば建築許可申請は不要です。 10㎡というと6.17帖に相当しますので、一部屋分くらいの増築はできるということになります。また、スケルトンリノベーションの際に10㎡のみ増築して居住スペースを広くするという合わせ技も可能です。 ただし、東京都内は全域が防火地域、準防火地域に指定されているため、10㎡以下の増築であっても不可となります。また、面積が非常に狭いため、子供部屋を設ける、物置を新設するなど、用途が限られてしまうのが難点です。

再建築不可物件でリフォームできない内容

再建築不可物件でリフォーム不可となる条件は上記でご紹介したこととは逆のパターンです。
柱と梁をまるごともしくは半分以上取り替えるような工事はNGとなります。10㎡以上の増築もしくは防火地域・準防火地域内におけるすべての増築も建築許可申請が必要となるため不可能です。特に東京都内では全域で再建築不可物件のいっさい増築ができないことになります。

これ以外にも建物の移転(建物を同じ敷地内の別の場所に移すこと)は新築扱いとなってしまうため建築許可申請が必要となります。屋根裏収納を設けるために屋根の高さを変更するといった工事も建築許可が必要であるため、再建築不可物件では認められません。

できないリフォームを可能にする方法

リフォーム以上のように、再建築不可物件ではリフォームできる場合とできない場合があります。
たとえば移転や増築をしなければならない、柱や梁が老朽化していて半分以上取り替えないといけない、小屋裏収納を設けたいなどの理由でどうしても建築許可申請が必要となるリフォームを行う場合は、接道義務を満たして再建築可能な状態にしなければなりません

とはいえ、「そもそも道路に接していないのにどうすれば接道義務を満たすことができるのか?」と思われるかもしれません。

「隣家を買収する」「隣家の一部を借りる」「但し書き許可を取得する」という方法のいずれかの手段をとることで、接道義務を満たせるようになる可能性があります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。

隣家の買取

隣家が接道義務を満たしている場合、隣家をまるまる買い取ってご自身の敷地と合筆(2つの土地を1つの土地に合併すること)させることで、接道義務を満たすことが可能です。
建築許可が下りるようになるので、フルリフォームはもちろん、建て替えや改築、移転もできるようになります。
土地が広くなるため、増築で建物を広くしたり駐車場などを設けたりすることも可能です。
隣家の建物も使えるようになり、たとえばご自身の物件と隣家の2軒を賃貸することで家賃収入を2倍にするといったこともできるようになります。

とはいえ、隣家を買収するためには多額の費用がかかるのがデメリットです。
固定資産税も敷地が広くなる分、高額になります。

隣家の一部を借りる

道路に接している面が狭い場合、隣家の敷地の一部を借りるもしくは買収することで、接道義務を満たせるようになります
特に間口があってその奥に土地が広がっている旗竿地などでよく選択される方法です。
たとえば間口が1.9mある場合、隣人から10cm分だけ土地を譲ってもらって間口を拡げれば、道路に2m接していることになり、接道義務を満たせるようになります。

隣家を買収するよりもコストがかからないことがメリットです。
一方で買収交渉が難航することも少なくありません。
隣人が土地の売却に対して首を縦に振らなかったり、足元を見て法外な値段をふっかけてきたりするケースもあります。

但し書き許可の取得

再建築不可物件で上記のように隣家を利用することができない場合でも、但し書き申請を行って建築許可を得られれば、フルリフォームが可能となります

そもそも接道義務は防災の観点から定められているルールです。
地震や火災が発生した際に道路に接していなければ、消防車や救急車、パトカーなどの緊急車両が現場に行けない、住民が避難できないなどのデメリットが生じます。
しかし、防災上問題ないと認められた場合は、道路に接していなかったとしても、建築許可が下りる可能性があります

建築基準法第43条の但し書きには、「敷地の周囲に広大な空き地があること」、「特定行政庁が交通上・安全上・防火及び衛生上支障がないと認めること」「建築審査会の同意を得ていること」が条件として挙げられています。
これらを満たしている場合は、道路に接していなかったとしても建築許可が下りる可能性があります。

再建築不可物件をリフォームする際の注意点

一定の条件下であれば、再建築不可物件でもフルリフォームは可能です。
しかし、リフォームをする際にはさまざまなハードルが待ち構えています
特に重くのしかかるのがお金の問題です。
一般的な住宅をリフォームするケースと比較して資金調達がし辛い、費用がかかってしまうなどのデメリットがあります。

ここからは再建築不可物件をリフォームする際に注意しておくべきことを見ていきましょう。

住宅ローンが組みにくい

一般的にリフォームを行う際にはリフォームローンを使います。
ただし、借入限度額は500~1500万円ほど。高額なリフォームを行う場合は、住宅ローンを使って資金調達しなければなりません。

特に上記でご紹介したスケルトンリフォームは新築を建てるのと変わらないくらいの費用がかかるので、一括で支払えるようなよほどのお金持ちでない限りは住宅ローンを使ってリフォームをすることになります

再建築不可物件をリフォームする場合、住宅ローンの審査に通りにくい傾向があることには注意しましょう。
銀行から借入をする際には不動産を担保にしますが、再建築不可物件は資産価値が低いとみなされるため、どうしても担保として認められにくいからです。

再建築不可物件のリフォームで住宅ローンが使えない理由は「再建築不可でもローンは組める ~否定されすぎな再建築不可物件購入~」で詳しくご紹介しています。

また、フラット35であれば比較的審査は緩いですが、そもそも国が所管する独立行政法人住宅金融支援機構が提供しているローンであるため、接道義務を満たしていない物件=建築基準法違反状態の物件のリフォームには使えないことになっています

再建築不可物件でフラット35が使えない理由やその他の手段で借り入れする方法については「再建築不可物件にフラット35は使える?所有者視点で他の方法も考察」で解説しています。

費用の負担増幅

昔に建てられた再建築不可物件は耐震性能が低いケースも少なくないので、大掛かりな耐震工事を行わなければなりません。
また、建物の老朽化が進んでいるため、補修箇所が多くなり、どうしてもリフォームにかかる費用が高額になりがちです。
加えて隣地との距離が近い、車両の出入りできないなど、工事がし辛い環境だと、工事費用も割高になってしまいます。

先ほどご説明した隣家の買収や土地の賃借も含めると、相当な費用負担が発生することを覚悟しておいたほうがいいかもしれません

そもそもリフォームするべき?

再建築不可物件の活用方法にはそのまま住み続ける、更地にしてしまう、売却するなど、さまざまなものがあります。
そこで、あえて費用を負担してリフォームをする必要はあるのでしょうか。
まずはそこから考えてみましょう。

少なくとも「再建築不可状態を脱却しているか」「高いリフォーム費を出して利益が出るのか」という2点をクリアしておかないと、リフォームをしても損をすることになりかねません。
それぞれのポイントについて、詳しく見ていきましょう。

再建築不可状態を脱却しているか

フルリフォームを行うためには再建築不可状態を脱していることが大前提となります。
前述のとおり、大掛かりなリフォームを行う場合は建築許可が必要になりますが、再建築不可物件は許可が下りないため小規模なリフォームに限られてしまいます。

まずは「再建築ができるのかどうか」「どうしたら再建築できるのか」を考えましょう。
とはいえ、素人ではなかなか判断がし辛いです。
一度専門家に相談してみることをおすすめします。

高いリフォーム費を出して利益が出るのか

再建築不可物件のリフォームには隣家の買収や賃借、耐震工事、老朽箇所の修繕など、さまざまな費用がかかります。
それだけの負担をかけてまでリフォームすべきかどうかを検討する必要があります
リフォームをしたのに住めない・売れないとなると、借金と使えない物件のみが手元に残るという結果になりかねません。

立地や間取りなどの魅力があるか」「リフォームしてちゃんと住める状態になるのか」「住宅ローンの返済やリフォームの費用を差し引いてしっかりとお金が手元に残るのか」といったことを十分検討し、たとえばリフォームにかかる費用よりも売却や賃貸などで得られる利益のほうが多いということであれば、リフォームする価値はあるかもしれません。

【事例】リフォームせず、売却して成功

正直言って、再建築不可物件をリフォームして活用するのはかなり難しいのが実情です。
法的なハードルや金銭的なハードルをいくつも超えなければならず、仮にリフォームしても新築や一般的な中古物件と同じように住んだり活用したりできるとは限りません。

再建築不可物件は無理に利用しようとするのではなく、売却してしまうのも手です。
当社でも再建築不可物件を購入してしまい、建て替えもリフォームもできずに困られていた方からのご依頼で、物件を買い取らせていただいたことがありました。
物件が崖地にあったため、もしも、その方がご自身でリフォームをされていたら基礎工事だけで数千万円のお金が飛んでいたでしょう。
当社では自前の工事部があって通常の業者よりも大幅に工事費用を抑えることができる点と、独自の販売網で再建築不可であっても売却ができるという点から、好条件で買い取らせていただき、利益を手元に残していただけました。

こうした業界独自のツテやノウハウがない限り、再建築不可物件をリフォームしても、工事費がかさんでしまって利益が得られないという事態に陥るリスクは極めて高いのです。

売却してしまった方がお得かも

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再建築不可物件の活用をお考えなら、無理にご自身でリフォームして賃貸経営をしたり売却したりするよりも、そのまま売ってしまったほうが良いかもしれません
隣家の買収費用や工事費用がかからない分、手元にお金が多く残る可能性があります。

訳あり物件買取センターでは、再建築不可物件の活用ノウハウがあるため、好条件での買取が可能です。
最短即日のお支払いにも対応。
そのまま物件をお譲りいただけます
秘密は絶対厳守。
弁護士や司法書士などの専門家がチームで対応するので、トラブルが発生している物件に関してもスムーズに買取が可能です。

再建築不可物件を所有されている方で、「どの不動産会社に行っても断られた」「話すら聞いてもらえなかった」という方は、ぜひ訳あり物件買取センターにご相談ください。

監修者

宮野 啓一

株式会社ティー・エム・プランニング 代表取締役

国内 不動産トラブルの訴訟・裁判解決件数:150件
国内 訳あり物件売買取引件数:1150件
海外 不動産トラブルの訴訟・裁判解決件数:30件

※宮野個人の実績件数

宮野啓一

経歴

1964年、東京(六本木)生まれ。叔父・叔母がヨーロッパで多くの受賞歴を持つ一級建築士で、幼少期より不動産や建築が身近なものとして育つ。
日本大学卒業後、カリフォルニア州立大学アーバイン校(UCI)に入学。帰国後は大手ビルオーナー会社に就職し、不動産売買を行う。
平成3年、不動産業者免許を取得し、株式会社ティー・エム・プランニングを設立。同時期より第二東京弁護士会の (故)田宮 甫先生に師事し20年以上に渡り民法・民事執行法を学ぶ。
現在まで30年以上、「事件もの」「訴訟絡み」のいわゆる「訳あり物件」のトラブル解決・売買の実績を積む。
またバブル崩壊後の不良債権処理に伴う不動産トラブルについて、国内・海外大手企業のアドバイザーも兼務し数多くの事案を解決。
日本だけでなくアメリカや中国の訳あり物件のトラブル解決・売買にも実績があり、国内・海外の不動産トラブル解決に精通。米国には不動産投資会社を持ち、ハワイ(ワイキキ・アラモアナエリア)・ロサンゼルス(ハリウッド・ビバリーヒルズ・サンタモニカエリア)を中心に事業を行う。

対象エリア東京都・神奈川県

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