どうする?!再建築不可を相続した時の対処法

どうする?!再建築不可を相続した時の対処法
2023年02月15日(水)

新築や増改築が認められない再建築不可物件。所有していたり相続などで新たに取得したりした場合はどうすればいいのでしょうか?どうするのが一番いいのでしょうか?

今回は再建築不可物件を所有するメリット・デメリットや判定する方法について解説した上で、所有しているあるいは相続した物件が再建築不可だと判明した場合の活用方法についてご紹介します。特に再建築不可物件を相続してしまった方、相続する物件が再建築不可の可能性がある方に参考となる内容になっています。

再建築不可とは

再建築不可とは法律の規制によって再度建築が認められない状態のことを指します。建築基準法第43条では都市計画地域内に建物を建てる際には敷地が幅員4m以上の道路に2m以上接していなければならないというルールが定められています。これを満たしていない場合は建築確認申請を行っても建築許可が下りないため、再建築不可となってしまうのです。「道路」とは建築基準法第42条で定義されており、いわゆる国道や都道府県道、市区町村道などが挙げられます。

ちなみに、接道義務が設けられる1950年以前は、道路に接していないような敷地であっても建物を建てることができました。当時は合法的に建てられた建物が接道義務の新設によって現在では違法状態となってしまっているケースが非常に多いのです。

再建築不可のメリット

再建築不可のメリットとしてまず挙げられるのは一般的な物件よりも固定資産税が安い点です。固定資産税額は建物の評価額によって決まります。再建築不可物件は評価額が低くなりがちなので、それにともなって税額も安くなる傾向があります。ただし、物件を活用していなければ、いくら安くなっていたとしても無駄な税金を支払うことになってしまうので注意が必要です

副収入を得られる可能性があるのもメリットです。再建築不可物件を持て余している場合、住宅や事務所、店舗として貸し出せば家賃や賃料などの収入を得られるようになります。ただし、物件の状態が良いことが前提です。建物が劣化していたり内装が古びていたり設備が老朽化していたりした場合は修繕が必要となります。

再建築不可のデメリット

再建築不可の最大のメリットはなんといっても再度建築ができない点です。建て替えはもちろん、増改築もできません。いくら老朽化していたとしてもできることといえば建築確認申請が不要な範囲の小規模なリフォーム・修繕に限られます。再建築不可物件は築年数が古いケースが多いので、古さが目立ち、耐震性能なども低下している可能性があり、大規模な修繕をしないと活用できないかもしれません

売却がしにくいというのもデメリットです。再建築できないという制限がある故に、再建築不可物件はどうしても買い手が少なくなってしまいます。周辺の不動産相場と比較すると査定額がどうしても下がってしまうか、そもそも不動産会社が話しすら聞いてくれないというケースも少なくありません

再建築不可かどうかの判断方法

ご自身が所有されている物件、あるいは相続予定の物件が再建築不可であるかどうかはその敷地がある市区町村役場に問い合わせてみるのが確実です。ただし、必要書類を揃えなければならず、調査もしてもらう必要があるため、手間と時間がかかってしまいます。

そこで、ここからはご自身でざっくりと物件が建築可能なのか?再建築不可なのか?を調べる方法をご紹介します。以下の方法で判定してみて、再建築不可が疑われる場合は役場で詳細に調べてもらうのがおすすめです

接道義務

まずは前述の接道義務を満たしているかどうかを確認しましょう。敷地が道路に全く接していない場合は再建築不可状態である可能性が極めて高いです。道路に接していたとしても、それが「建築基準法上の道路」であるかどうかも重要です。私道である場合はやはり接道義務を満たしていることにはなりません

さらに、接しているのが建築基準法上の道路であってもその幅員や接している間口が基準を満たしている必要があります。前述のとおり、接している道路の幅員は4m以上が条件です。普通自動車の横幅は1.5~2m程度ありますので、車がすれ違いできないような狭い道路に接している場合は接道義務を満たしていない可能性があります

接している間口は2m以上が条件ですので、それ以下の場合は再建築不可です。間口はメジャーで測ることもできます。また、普通自動車が出入りできないような狭い間口であれば、やはり再建築不可の可能性大です

都市計画区域

接道義務が適用されるのは都市計画区域内のみです。都市計画区域とは一つのまとまった都市として整備や開発、保全する必要がある区域のことで、都道府県が指定します。敷地が都市計画区域内にあるかどうかを調べるには市区町村役場に問い合わせるか市区町村役場のホームページ、あるいはインターネットで「都市計画図」を参照するなどの方法があります。

都市計画区域に指定されていない地域であれば接道義務を満たしていなくても再建築を行うことが可能です。ただし、東京23区内はすべて都市計画区域に指定されています。他地方でも市街地は都市計画区域に指定されているケースが多いです。

相続した物件が再建築不可だと分かったらどうする?

前述のとおり、再建築不可物件は建て替えや増改築ができない、売却がしづらいなど、さまざまなデメリットがあります。実際に再建築不可物件を相続するなどしても活用する術がなく、持て余していたり利益がないのに固定資産税を支払い続けていたりという方も少なくありません

もしも相続する予定の物件、あるいは相続した物件が再建築不可であることが判明したらどうするのがいいのでしょうか?ここからは「相続前に発覚した場合」と「相続後に発覚した場合」という2つのケースに分けて対処法をご紹介します。

【case1】相続前に発覚した場合

相続予定の不動産が再建築不可であることが判明して、自分で住んだり賃貸に出したりなどの活用方法がない場合は、上述のとおり持て余してしまう可能性がかなり高くなります。相続して名義変更を行った後は物件を管理して固定資産税を支払わなければなりません。売却するにしても売れるまでが大変で、売れたとしても二束三文にしかならないケースがほとんどです。

そこで、再建築不可の物件を「相続しない」という選択肢もあります。

相続放棄

相続とは亡くなった人(被相続人)の相続人(被相続人の配偶者や子など)が、被相続人の財産を引き継ぐことです。これは権利であり、必ずしも相続しなければならないというわけではありません。相続放棄という手続きを行えば、相続しないという選択をすることも可能です。

特にマイナスの財産を相続しなければいけないケースでよく取られる手段で、たとえば被相続人が借金を背負っている場合、相続人には財産とともに債務も相続されるため、相続放棄がされるケースも多いです。再建築不可物件も同様に、相続放棄を行えば相続しなくともよくなります

相続放棄を行うには相続放棄申述書と被相続人の除票謄本・住民票の除票、申立人の戸籍謄本を家庭裁判所に提出して手続きを行います

相続放棄の注意点

相続放棄は「相続の開始があったことを知ったときから3ヶ月」という期限が設けられています。相続の開始とは一般的に相続人が被相続人の死亡を知った日を指すことが多いです。それから3ヶ月以内に相続人同士で話し合いをして財産を相続するかどうかを判断し、必要書類を揃えて手続きを行わなければなりません。葬儀や法要、遺品整理などで何かと忙しく、何よりもご家族が亡くなって気分が落ち込んでいる中で、期限内に相続放棄の手続きを完結させるのは相当大変です。

また、相続放棄を行う場合、すべての財産の相続を放棄する必要があります。現金や有価証券、貴金属のみを相続し、再建築不可物件のみを放棄するということは認められません。プラスの財産もすべて放棄する必要があります。

再建築不可と分かった上で相続するなら

実際には不動産が再建築不可であるとわかった上でとりあえず相続するケースがほとんどです。再建築不可物件を相続するとなれば、その後の活用方法について考えていかなければなりません。もし相続する意思が固まっている、相続放棄の期限に間に合わなかった場合は、次の章を参考にして物件の活用について考えてみましょう。

【case2】相続後に発覚した場合

物件を相続した後に、それが再建築不可であることが発覚するケースも少なくありません。また、前述のとおり再建築不可であることがわかっていても相続するケースもあり得ます。その場合は物件を活用する方向性で考えていくしかありません。

ここからは再建築不可物件を活用する方法についてご紹介します。以下を参考にして、相続した物件の活用について検討してみましょう。

活用・運用

再建築不可物件を活用するには前述のとおり賃貸物件として貸し出すという方法もあれば、ご自身で住む、倉庫や物置などにする、事務所や店舗などにするなど、さまざまな方法が挙げられます。

物件を持て余して固定資産税だけを支払い続けるのはもったいないです。まずは活用する方法を模索してみるのもいいかもしれません。

再建築可能にする

再建築不可物件であっても接道義務を満たすことさえできれば再建築が可能な状態になります。たとえば隣の敷地が接道義務を満たしている場合は、買収して合筆することで再建築可能となります。間口が狭くて接道義務が満たせていない状態であれば、一部を買い取るか借りて合筆して間口を拡げることで、やはり接道義務を満たすことができます。

接している道路の幅員が足りない場合は、自分の土地を後退させてその分を行政に明け渡して道路として扱ってもらう「セットバック」という方法もあります。他にもさまざまな手段で再建築不可状態を解消することが可能です。

ただし、再建築不可物件で接道義務を満たした状態にするためには手間や費用がかかるため、かなりハードルが高いのも事実です。

そのまま活用する

上記のような方法をとらず、再建築不可状態のまま活用するという手段もあります。ただし、物件の状態が比較的良好であることが前提です。耐震性能がしっかりとしていて、雨漏りなどの修繕も必要がないのであれば、内装を張り替えるといった軽微なリフォームを行うだけで賃貸物件として活用できる可能性もあります。ただし、築年数が古い再建築不可物件のほとんどは大規模な改修工事が必要です。

となると、物置にするか、更地にしてしまって駐車場や駐輪場、家庭菜園などを設けるといった方法しかなくなってしまいます

売却

再建築不可物件は売却するのが一番手間はかかりません。増改築の工事費や再建築可能にするための費用も不要です。そのまま売却すれば、利益を手にすることができます。

しかし、前述のとおり再建築不可物件は不動産市場では価値が低いとみなされ、非常に売れにくいです。買い手が見つからずにどんどん建物の劣化が進み、可能な範囲で修繕を続けたり固定資産税を支払い続けたりしてやむを得ず物件を維持されているという方も多いです。仮に買い手が見つかったとしても安値でしか売れないケースがほとんどです。

特に仲介を通して売りに出す場合、不動産会社が何もしてくれず売れ残ってしまうという事態に陥る可能性が極めて高いといえます

再建築不可の今後

今、国は脱炭素に向けた取り組みを強化していて、エコな住宅の建築に対しては補助金や助成金を出すなど、さまざまな優遇政策を行っています。一方で省エネ性能や耐震性能が低い住宅に対しては締め付けが厳しくなってきているのも事実です

たとえば、「4号特例」とよばれる、一定の階数・面積以下の建物であれば改修工事などの際に建築確認申請が不要になる特例措置があります。今後はこの条件も厳しくなっていくはずです。それにともなって、再建築不可物件を扱える不動産業者、施工業者も減少すると予想されています。

今後ますます再建築不可物件の活用・売却が難しくなっていくのは間違いなさそうです
再建築不可の今後を分析した記事もございますので、詳しくは「今後どうなる?!再建築不可所有者が知らなきゃならない未来とは?」をご覧ください。

再建築不可物件に詳しい業者にご相談

再建築不可物件を相続したけど活用する方法がない、固定資産税や修繕費のみがかかって困っているということであれば、売却も視野に入れてみましょう。たしかに再建築不可物件は売ることも難しいのですが、買取専門業者であれば比較的早期に・好条件で売却できる可能性もあります

訳あり物件買取センターは再建築不可物件の買取に特化しています。30年以上訳あり物件の取引に携わってきて培ったノウハウと豊富な販売網で、再建築不可状態であっても高値での買取が可能です。リフォームや再建築不可状態の解消も不要。そのままお譲りください。代金は即日現金でお渡し可能です。

再建築不可物件の活用でお困りなら、まずはお気軽にご相談ください。

監修者

宮野 啓一

株式会社ティー・エム・プランニング 代表取締役

国内 不動産トラブルの訴訟・裁判解決件数:150件
国内 訳あり物件売買取引件数:1150件
海外 不動産トラブルの訴訟・裁判解決件数:30件

※宮野個人の実績件数

宮野啓一

経歴

1964年、東京(六本木)生まれ。叔父・叔母がヨーロッパで多くの受賞歴を持つ一級建築士で、幼少期より不動産や建築が身近なものとして育つ。
日本大学卒業後、カリフォルニア州立大学アーバイン校(UCI)に入学。帰国後は大手ビルオーナー会社に就職し、不動産売買を行う。
平成3年、不動産業者免許を取得し、株式会社ティー・エム・プランニングを設立。同時期より第二東京弁護士会の (故)田宮 甫先生に師事し20年以上に渡り民法・民事執行法を学ぶ。
現在まで30年以上、「事件もの」「訴訟絡み」のいわゆる「訳あり物件」のトラブル解決・売買の実績を積む。
またバブル崩壊後の不良債権処理に伴う不動産トラブルについて、国内・海外大手企業のアドバイザーも兼務し数多くの事案を解決。
日本だけでなくアメリカや中国の訳あり物件のトラブル解決・売買にも実績があり、国内・海外の不動産トラブル解決に精通。米国には不動産投資会社を持ち、ハワイ(ワイキキ・アラモアナエリア)・ロサンゼルス(ハリウッド・ビバリーヒルズ・サンタモニカエリア)を中心に事業を行う。

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