再建築不可物件が1億4000万?仲介屋の独りよがりで全員敗者。この結末とは…

再建築不可物件が1億4000万?仲介屋の独りよがりで全員敗者。この結末とは…
2023年09月29日(金)

「再建築不可物件を仲介で売りに出しているけど1年くらい音沙汰がない」「すごくいい値段で査定してくれたのにまったく売れる気配がない」……そんな再建築不可物件のオーナー様はひょっとしたら悪徳不動産仲介会社の手玉に取られているかもしれません

「売れますよ!」「ここは人気のエリアですから!」と調子のいいことを言いつつ高値で査定をして媒介契約を結ばせ、その後はほったらかしというケースもしばしば見受けられます。その背景には不動産会社の黒い思惑がうごめいています。

世の中皆が皆いい人ではありません。「あの人に限ってそんなことはない」「大手に頼んだからありえない」という気持ちもわかります。悪い人はいい人を演じるのが非常にうまいです。あるいは担当者個人は本当に善良な人でも、その会社がいい会社とは限りません。

今回は長年不動産業界に身を置き再建築不可物件に特化して取引をしてきた私たちだからこそ知る、業界の実情について事例も交えながら赤裸々にお話します

目黒区の再建築不可物件に1億4000万の値が!

Aさんは目黒区に築51年の木造一戸建てを所有されていました。58坪で2階建て、苦学生用の寮として使用されており、全て和室という間取りでした。この物件は道路からの間口が2m未満であったため再建築不可状態。当然のことながら建て替えはできず、解体して駐車場にすることも不可能です。学生向けの賃貸物件くらいしか用途がなく、家賃も安いためほとんど利益はありませんでした。

実はAさんは3年前から仲介会社を通じてこの物件を売りに出されていたのですが、なんと査定額は1億4,000万円。正直この条件からするとありえないくらいの高額査定なので、私たちからすると「怪しい」という言葉しか出ませんが、この査定額に喜んだAさんはその会社と専任媒介契約を締結し、物件を売りに出したのです

あれから2年…目減りしなお、報われない転落物件へ。

事例の再建築不可物件についての時系列図解意気揚々と高額で売りに出したのはよかったものの、それから1年経っても売却できず、仲介会社の担当者の提案で値下げをしました。それでもまだ売れず、無惨にも月日はどんどん経過していったのです。

東京や神奈川は非常に不動産需要が高く、基本的に3ヶ月、遅くとも6ヶ月で、たいていの物件は売れてしまいます。人気がある目黒区ならなおさらです。にもかかわらず売れないのはよほどのこと。物件と価格が釣り合っておらず、そのままでは一生売れることはなかったでしょう。

案の定8,000万円にまでディスカウントしましたが、依然として売れる気配はまったくなく、とうとう不動産会社からも音沙汰がなくなってしまったのです

査定とは一体なんなのか?モラルはどこへ?

再建築不可物件で長年お悩みの方、このサイトの記事を読まれている方なら、1億4,000万円という査定額がありえないということはおわかりになるかと思います。おそらく、不動産会社は周辺の実勢価格をもとに査定額を算出したのでしょう。この物件があるエリアは特に目黒区の中でも人気が高いエリアで地価が上昇していたので査定額もそれに基づいて算出され、再建築不可という要素はまったく考慮されなかったと思われます。

しかし、ローンは通らない・再建築はできない・売却は難しい……果たしてこんな物件を1億4,000万で買う人間がいるでしょうか?

仲介会社が悪意なく値決めを間違えたか、わざと高額な査定をしたか、真意のほどはわかりません。しかし、実際に不動産業界では高額な査定額を出し、半ば売り主を騙すような行為が横行しているのです

同じ不動産業界に身を置く者としては非常に憤りを感じます。皆さんが仲介会社の手玉に取られないよう、そして業界全体が健全なものとなるよう、業界の実情をお話します。

なぜこんな自体が起こってしまうのか?

不動産業界では再建築不可物件を高額で査定して売り主をぬか喜びさせて専任媒介契約を契約させるという手口が横行しています。「なぜこんなことが起こるのか?」という問いに対する答えを断言するのはなかなか難しいのですが、強いていえば“人”です。不動産は単価が高額で非常に儲けが多い業界といえます。お金が集まるところには「」、そして「」が集まるため、モラルや倫理観が崩壊しやすいのです。

上記のように高い査定額を出して売り主を半ば騙すような行為はしばしば見受けられます。営業担当者が独断で行っているケースもあれば、組織(不動産仲介会社)が指示しているケースもあります。また私利私欲のため、競合他社との競争に勝つためなど、理由もさまざまです。

しかし、いずれにしてもお金が時として悪い考え、悪い人間を呼び寄せることはあります。会社も結局は「人」の集まりです。悲しいことですが、再建築不可物件の売り主は悪い人に足元を見られて餌食になってしまう構図が出来上がっています

不動産と車の買取業界は悪い人がいっぱい

某中古車販売会社が起こした数々の悪行が暴かれ、非常に大きな社会問題となりました。悲しいことですが、車と不動産業界には悪い人がいっぱいいます。その要因としては上記のように利益が大きいことも挙げられますが、業界の特殊な慣例も大きな要因といえます。

よくよく考えてみてください。不用品やブランド買取店では査定してもらったその額で物品を所有権も含めてその場で引き渡し、同時に現金が受け取れるはずです。店側が査定額と異なる金額で買い取ったならば、お客からすれば「話がちがうじゃないか」となります。

しかし、なぜか不動産や車の買取りとなると、査定と実際の売却額が大きく異なるケースや、「現金は後から渡します」といった会社が多いです。考えてみればおかしな話だと思いませんか?

商品が大きいものだから?高額なものだから?でもそれらは合理的な理由ではありません。

理由は簡単。買い手側に目論見があるからです。もちろん、ちゃんと誇りをもって仕事をしている真面目な会社が大多数なのは大前提として申し添えておきます。しかし、長年この不動産業界で生きてきた私たちだからこそ、あえて言わせていただく。この業界は本当に悪い人が多い。これは紛れもない真実なのです。

仲介会社は再建築不可物件を相場の7倍で査定する

再建築不可物件を相場よりも高めの額で査定する不動産仲介会社も少なくありません。私たちが知るところによると、相場の7倍というとんでもない額で査定する会社も存在します。その結果、売り主が「高く売れる!」と歓喜して専任媒介契約を締結するのですが、物件と価格が釣り合っていないため売れないという事態に陥ってしまうのです

なぜそのような無茶苦茶な額で査定するのか?その背景には1.知らなかった 2.営業担当者の独断 3.会社の戦略という3つのうちのいずれかの事情があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

相場を無視した査定額が出てしまう原因
1. 再建築不可と気づかなかった 2. 営業担当者の独断 3. 会社の組織ぐるみの企み

知らずのうちに7倍の査定を出してしまった。

まずは不動産仲介会社の知識不足が背景として挙げられます。一般的に不動産は固定資産税評価額に色をつけるという形で査定額を算出します。査定した物件が再建築不可状態であるとは知らずに、悪気なく周辺相場に合わせて査定してしまうケースが非常に多いです

確かに再建築不可物件かどうかは見分けるのが難しいケースもあります。普通の不動産屋、あるいは担当者は自身に知見がないために査定時に再建築不可であることを気づかず査定してしまうこともあり得ます。

しかし、“不動産の専門家”を名乗るのであれば、無責任な査定をしないでもらいたい、「知らなかった」「専門知識がないから」という言い訳をしないでもらいたいと切に願います。再建築可能かどうか見分けられないのであれば、しっかりと調査をした上で査定をすればいいのですから。

営業担当者の独断。今月もノルマ達成!客のことは知らんスタイル

営業担当者の私利私欲によって独断で査定額が盛られるケースも少なくありません。サラリーマンにとって営業成績(ノルマ)の達成は非常に重要ですが、不動産業界ではその傾向がとりわけ強いです。専任媒介契約を取ればノルマを達成でき、上司からの評価が上がります。その結果、出世や昇給、インセンティブにつながるのです。

専任媒介契約を取るだけとって、あとは売り主がどうなろうと知ったことではない。自分さえ良ければそれでいい。そんな営業マンが多いのも事実です。

また、ノルマ達成が厳しく会社や上司からプレッシャーをかけられている営業マンが専任媒介契約をなんとか取ろうとしてやむにやまれず査定額を盛るケースも考えられます。ただ、こちらの場合も売り主にとっては害悪であることには変わりありません。

【モラル崩壊】会社の営業戦略!物件所有者は損をする、そんなのすべて織込み済み

組織ぐるみで売り主を騙し討ちするような不動産仲介会社も少なからず存在します。今回私たちが特に業界に問いかけたい問題がこれです。

こうした不動産会社に査定を依頼した場合、当初の査定額で売れないということははじめから計算済み。そもそも査定額を盛るメリットは専任媒介契約が取れるから、もっといえばその物件の独占販売権を得られ、競合から邪魔をされず確実に利益を得られるからです。

高く売れるよう売り主をぬか喜びさせておいて専任媒介契約を結んだら、あとは親身になっているふりをして徐々に売値を下げていきます。売り主としては時間が経過しても売れないという現実に直面し、「不動産屋さんが頑張ってくれてもこれなら致し方ない」と納得してしまうのです。しかし、プロである不動産屋はこうなることは最初から折り込み済み。安値でも物件を売りさばけば利益は得られるのです。もしも、自分がこんなレールを歩かされていると知ったら皆さんはどう思いますか?

中小零細ならまだしも、誰もが知るような大手仲介会社でも、このようなことがまかり通っているのです。あなたたちにはモラルや倫理、業界の健全な未来を考える度量はないのか?と問いたいです。

7倍で査定した後はどうなるの?

札束査定額が盛られる原因としては悪気がなく高額査定してしまうケースもあれば、営業マンが私利私欲のために独断で行っているケース、あるいは組織ぐるみで行っているケースもありますが、いずれも結末は同じです。

ただ、一点違いがあるとすれば、営業マンや仲介会社に悪意がある場合、売り主には腹に据えかねる感情が沸々と湧いてくるということです。

査定額を7倍も盛られたらどんなことが起こるのでしょうか?当然のことながら物件は売れません。仲介においては住まいを探している一般の消費者、あるいは不動産投資家が買い手となります。「なぜ売れないのだろう?」と悩まれている再建築不可物件のオーナー様も多いのですが、よくよく考えてみてください。話は非常にシンプルです。たとえば本来150円で買えるおにぎりが7倍である1,050円で売られていたら、1050円支払って購入しますか?答えは明白です。多くの方が他店に行って150円で買うでしょう。もしくは1050円を支払うなら料理屋さんに向かうでしょう。

相場の7倍という超破格な査定額で喜んだのもつかの間、「なかなか売れず、ディスカウントさせられる」という結果が待っています。

7分の1、酷いときには10分の1

7倍の資産価値と本来の資産価値7倍の資産価値と本来の資産価値

専任媒介契約を締結したら、あとは不動産会社や営業マンと物件オーナーとの心理戦です。しかし、だいたいの場合、前者が勝ちます。オーナーは思ってもみない高額な査定額でワクワクする気持ちもひとしお。しかし、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月……と全く音沙汰がないと、どんな気持ちになっていきますか?間違いなく不安に苛まれることになるでしょう。期待が大きかった分だけショックも大きいはずです。しかし、彼らは売り主がこうした心理になるのを待っています

「そろそろ諦めようかな……」と思っていたところに、「確実に売るためにもう少し値段を下げましょう!」と減額を持ちかけてくるのです。まずは1割、2割。それでも売れないとなると、さらに3割、4割と、どんどん売値が目減りしていきます。気付いた頃には当初の査定額の10分の1にまで下がっていたという事例もあります。

「でも、そうなると仲介会社の利益も目減りするのでは?」と思われるかもしれません。でも、それでいいのです。なぜなら仲介会社は物件が売れなければ仲介手数料が入って来ないからです。

再建築不可物件はもともと売りづらいことは重々承知の上ですから、数ある物件の中でも優先順位は高くありません。彼らは物件を仕入れて売るわけではないので、売り主の物件が売れ残ったとしても損をすることはなく、「売れたら儲けもの」くらいにしか考えていないのです

酷い話、だからこそ売り主の皆さんの目利き力が問われています

以上のような構造があり、営業担当者の「ノルマを達成したい」仲介会社の「独占販売権が欲しい」という思惑が相まって、売り主が泣きを見るような状況が生まれるのです。

繰り返しになりますが、仲介会社は仲介手数料さえ入ればそれでいいのです。再建築不可物件でも、とりあえず専任媒介契約を結んで囲っておき、万が一でも売れれば御の字です。

一方で、売り主は「高額で売れる」と期待をしたのにいつまで経っても売れない、心理的に落ち着かない状況が続き、しかも固定資産税はかかり続け実損を被り続ける。こんな酷い話がまかり通っているのが不動産業界の紛れもない実像です。

結局のところ、自分で自分の身を守るしかありません。正しい知識を身につけ、信頼できる業者を見極め、査定にぬか喜びをして営業マンの口車に乗ってしまわないよう気をつける。これが一番重要です。

まとめ

綺麗事を言う、得すると思わせるような話をしておいて、騙し討ちのようなことをする。不動産業界特有の悪習は確かにあり、それで痛い目に遭ったという再建築不可物件のオーナー様から数多くのご相談をいただいています。

私たちは不動産業界の人間として最低限守るべきモラルがあり、自分を律していかなければならないと思って日々仕事に向き合っています。しかし、現実は大手不動産会社が率先して悪質な行為をしているため、残念ながら業界全体が良くなるのはまだまだ遠い未来の話であると思わざるを得ません。

不動産会社を利用する際には売り主自身が注意するしかないのが実情です。高額な査定額が出れば嬉しいのはよくわかります。その金額で本当に売れて入金があればそれに越したことはありません。しかし、現実はそれほど甘くなく、当初の査定額が皮算用になってしまうという結末がほとんどです

不動産は資産になるものなので、当然のことながら本当の価値というものがあります。それをしっかり見つめて受け入れる勇気さえあれば、詐欺まがいの手口にひっかかるリスクは大幅に軽減できるはずです

訳あり物件買取センターでは、なかなか物件が売れずに心が落ち着かない、固定資産税ばかり支払っていて実損が出ている、実際に今回ご紹介したような手口に嵌ってしまったという方からのご相談をよくいただきます。皆さん怒りをあらわにされながら、あるいは落胆されながら悩みを赤裸々に吐露されており、私たちとしても胸が痛む想いです。どうか、こうした想いをオーナー様が一人でも減ることを願っています。

再建築不可物件が売れなくて困られている方、今売りに出している仲介会社に不信感をお持ちの方は、一度訳あり物件買取センターに相談してみませんか?問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。

監修者

宮野 啓一

株式会社ティー・エム・プランニング 代表取締役

国内 不動産トラブルの訴訟・裁判解決件数:150件
国内 訳あり物件売買取引件数:1150件
海外 不動産トラブルの訴訟・裁判解決件数:30件

※宮野個人の実績件数

宮野啓一

経歴

1964年、東京(六本木)生まれ。叔父・叔母がヨーロッパで多くの受賞歴を持つ一級建築士で、幼少期より不動産や建築が身近なものとして育つ。
日本大学卒業後、カリフォルニア州立大学アーバイン校(UCI)に入学。帰国後は大手ビルオーナー会社に就職し、不動産売買を行う。
平成3年、不動産業者免許を取得し、株式会社ティー・エム・プランニングを設立。同時期より第二東京弁護士会の (故)田宮 甫先生に師事し20年以上に渡り民法・民事執行法を学ぶ。
現在まで30年以上、「事件もの」「訴訟絡み」のいわゆる「訳あり物件」のトラブル解決・売買の実績を積む。
またバブル崩壊後の不良債権処理に伴う不動産トラブルについて、国内・海外大手企業のアドバイザーも兼務し数多くの事案を解決。
日本だけでなくアメリカや中国の訳あり物件のトラブル解決・売買にも実績があり、国内・海外の不動産トラブル解決に精通。米国には不動産投資会社を持ち、ハワイ(ワイキキ・アラモアナエリア)・ロサンゼルス(ハリウッド・ビバリーヒルズ・サンタモニカエリア)を中心に事業を行う。

対象エリア東京都・神奈川県

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