今、コンテナハウスが注目を集めています。
建物を建てるよりも低コストで設置でき、デザインも斬新であるのがその理由です。
再建築不可の土地を活用する手段としてコンテナハウスを設置するケースも増えてきていますが、果たしてそれは得策なのでしょうか?
今回はコンテナハウスを再建築不可の土地に設置する是非について考えてみましょう。
目次
コンテナハウスって建築物?
そもそもコンテナとは車両や鉄道、船などで荷物を運ぶために使われる、直方体の容器のことを指します。
トレーラーや貨物列車に牽引されているコンテナを見たことがあるかもしれません。
このコンテナを建物の代わりとして活用したものがコンテナハウスです。
とはいえ、貨物を運ぶためのコンテナをそのまま流用するのではなく、コンテナハウスとして活用することを前提として造られたコンテナを使うケースが多いようです。
コンテナハウスは一見すると建物ではないように思えますが、実は建築物とみなされる場合もあります。
国土交通省は「随時かつ任意に移動できないコンテナは、その形態及び使用の実態から建築基準法第2条第1号に規定する建築物に該当する」と案内しています。
そのため、コンテナハウスを設置する際には建築確認申請を行わなければならないのです。
建築確認申請のできない再建築不可
再建築不可物件が再建築できない理由として、建築確認申請が通らないということが挙げられます。
このハードルを超えない限り、敷地に建物を建てることはできません。
どうしても建物を建てるのであれば、建築確認申請が通る状態にするか、建築確認が不要になる範囲内で建物を建築する必要があります。
建築確認申請とは
建物を建てる際には建築主が建築主事(都道府県や政令指定都市に在籍する建築確認を行う公務員)もしくは指定確認検査機関に申請を行い、建築確認を受けた上で、確認済証の交付を受ける必要があります。
これは建築基準法第6条に定められています。
建築確認の際には、その敷地が建築基準法で定める条件を満たしているかどうかがチェックされます。
再建築不可物件は建築基準法第43条の「接道義務」を満たしていないため、建築確認申請に通らないのです。
故に、再建築不可物件では再度建物を建てることができなくなってしまいます。
建築確認が不要になる限定的条件
ただし、建築をする際にはすべてのケースで建築確認が必要であるかといえば、必ずしもそうではありません。
以下のような条件にすべてあてはまる場合、建築確認申請は不要です。
床面積が10平方メートル以下であること | 建物の規模が小規模なケースが当てはまります。 |
---|---|
防火地域・準防火地域に該当しないこと | 防火地域・準防火地域は都市計画法によって定められます。 建物が密集する地域ではいずれかに指定されているケースが多いです。 |
新築以外(増築・改築・移転)であること | 建物の床面積を増やす行為、一部をつくりかえる行為(リフォームなど)、建物を移転する行為を指します。 |
簡単に言えば、再建築不可状態の土地であっても、駅前や繁華街以外で、6畳以下のコンテナハウスを増改築する分には問題ないということになります。
しかしながら、建築確認申請が不要となる条件は相当限定的で、ほとんどの場合は建築確認申請を行わなければなりません。
コンテナハウス設置費用
冒頭でもご紹介したとおり、コンテナハウスは建築物を建てるよりも安く設置することができます。
6畳分で中古のコンテナであれば20万円、高くても200万円程度で購入することが可能です。
ただし、コンテナの運搬費用や設置費用は別です。
さらには水道やガスなどのライフラインを整備するための費用もかかります。
結果的には建物を建てるのと同じくらいのコストがかかってしまうケースも少なくありません。
また、コンテナハウスを設置するためにはコンテナを搬入する必要があります。
そもそも道路に接していない、接している道路の幅が狭い、接している面が狭いといった再建築不可の土地では、コンテナハウスを設置する作業が行えない可能性も高いです。
コンテナハウスの固定資産税
コンテナハウスが建築物とみなされた場合は、固定資産税や都市計画税という税金を支払う必要があります。
これらの税金は毎年1月1日時点で不動産を所有する人が納税しなければならず、税額は固定資産課税台帳に記された評価額の1.4%となります。
なお、住居用の建物に関しては軽減措置が受けられ、これよりも税額が安くなる可能性があります。
ただ、いずれにしても土地と建築物とみなされるコンテナハウスを所有し続ける限り、固定資産税や都市計画税の支払いから逃れることはできません。
コンテナハウスの運用
コンテナハウスは住居として活用するにはスペースが狭く、一般的な建築物と比較しても快適性はどうしても劣ります。
そのため、運用物件を前提としたほうが得策です。
たとえばコンテナハウスを飲食店や小売店などの店舗として活用したい人や資材置き場や倉庫として活用したい法人に貸し出して賃料を受け取ったり、ホテルとして活用したりといった方法が挙げられます。
しかし、運用が必ず成功する保証はありません。
利用者がいない場合は、当然収入は0です。
駅から近いなどの立地が良い場所なら需要はあるかもしれませんが、道路に接していない再建築不可物件では車や人が近づきにくいため、店舗や倉庫、宿泊施設としての需要が見込めない可能性もあります。
ちなみにトレーラーハウスとは違うの?
コンテナハウスに似たようなものとして「トレーラーハウス」というものもあります。
コンテナハウスはコンテナを建物の代わりとして転用したものですが、トレーラーは貨車を転用したものです。
トレーラーハウスには車輪がついていて移動ができるため、法律上は「車両」とみなされます。
そのため、建築確認申請はもちろん、固定資産税や都市計画税も不要です。
再建築不可の土地を活用する手段としては、このトレーラーハウスを設置するという方法もあります。
詳しくは「再建築不可の活用 ~トレーラーハウスの設置はおすすめできるのか~」をご覧ください。
結局コンテナハウスの設置はおすすめできるのか
ここまでコンテナハウスの活用について見てきましたが、結論としてはおすすめできません。
コンテナハウスは建築物とみなされるため、建築確認申請が必要です。
これが不要なケースもあるにはありますが、相当限定的といえます。
さらには固定資産税や都市計画税の納税義務が生じることと、運用していく難易度が高いことも挙げられます。
訳あり物件買取センターなら、物件の活用ノウハウが豊富で充実した販路があるため、再建築不可物件であっても好条件で買い取りが可能です。
運用に手間をかけたり、税金を支払い続けたりする必要はありません。
物件を活用するよりも多くの利益が得られる可能性もあります。
再建築不可状態の土地活用でお困りなら、売却も検討してみてください。
宮野 啓一
株式会社ティー・エム・プランニング 代表取締役
国内 | 不動産トラブルの訴訟・裁判解決件数:150件 |
国内 | 訳あり物件売買取引件数:1150件 |
海外 | 不動産トラブルの訴訟・裁判解決件数:30件 |
※宮野個人の実績件数
経歴
1964年、東京(六本木)生まれ。叔父・叔母がヨーロッパで多くの受賞歴を持つ一級建築士で、幼少期より不動産や建築が身近なものとして育つ。
日本大学卒業後、カリフォルニア州立大学アーバイン校(UCI)に入学。帰国後は大手ビルオーナー会社に就職し、不動産売買を行う。
平成3年、不動産業者免許を取得し、株式会社ティー・エム・プランニングを設立。同時期より第二東京弁護士会の (故)田宮 甫先生に師事し20年以上に渡り民法・民事執行法を学ぶ。
現在まで30年以上、「事件もの」「訴訟絡み」のいわゆる「訳あり物件」のトラブル解決・売買の実績を積む。
またバブル崩壊後の不良債権処理に伴う不動産トラブルについて、国内・海外大手企業のアドバイザーも兼務し数多くの事案を解決。
日本だけでなくアメリカや中国の訳あり物件のトラブル解決・売買にも実績があり、国内・海外の不動産トラブル解決に精通。米国には不動産投資会社を持ち、ハワイ(ワイキキ・アラモアナエリア)・ロサンゼルス(ハリウッド・ビバリーヒルズ・サンタモニカエリア)を中心に事業を行う。
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