連棟式建物は再建築不可?建替え可能にする方法や他の対処方法を解説

連棟式建物は再建築不可?建替え可能にする方法や他の対処方法を解説
2023年09月27日(水)

再建築不可物件は建て替えやリフォームが認められず売却もしにくいので、非常に扱いが難しいのが実情です。一戸建てでもしづらいのですが、連棟式建物となると他の所有者もいるためなおさらややこしいことになってきます。

この記事では再建築不可状態の連棟式建物を所有されている方のために、再建築可能にする方法や物件の活用法、高値で売却するためのポイントについてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください

そもそも連棟式建物とは

連棟式建物とは複数の建物が一体となっている状態の建物のことを指します。いわゆる「長屋」をイメージするとわかりやすいです。一戸建て同士がつながっているようになっていて、1戸につき1世帯が住んでいます。なお、1つの建物内に部屋が分かれていて、それぞれに入居者が暮らすマンションやアパートは連棟式建物とは別物です。昔は連棟式建物が多く建てられ、それらが再建築不可状態となっているケースも少なくありません。

連棟式建物には大きく分けて「テラスハウス」と「タウンハウス」という2種類があります。以下でそれぞれ詳しく見ていきましょう。

テラスハウスの特徴とメリット

テラスハウスの図解テラスハウスとは敷地の中で境界が明確になっている連棟式建物のことを指します。1つの土地の中でさらにAさんの敷地、Bさんの敷地というように分筆(土地を分割すること)がされており、その敷地の上に建てられた建物もそれぞれの所有者が所有します。

隣の建物とつながってはいますが、自分の敷地を庭や家庭菜園、駐車場など自由に活用できるという点で、タウンハウスと比較するとより一戸建てに近い感覚で暮らすことができます。また、複数の住宅と一体になっている連棟式建物は建築費を抑えることができるため、一戸建てよりも安価に入居できるのもメリットです。マンションやアパートのように上下階がないので、騒音や振動などによるトラブルの心配も少なくて済みます

タウンハウスの特徴とメリット

タウンハウスの図解1つの土地が分筆され、それぞれの建物の入居者が所有権を有するテラスハウスに対してタウンハウスは1つの敷地を入居者が共有する連棟式建物のことを指します。物件によっては共有で利用できる庭やスペースが設けられていることもあります。

土地は基本的に所有者が管理をするため、入居者は管理をする手間が省けるというのがメリットです。その代わり管理費を支払うため、よりマンションやアパートに近い形態となります。それでいて、のびのび暮らせる、上下階に配慮する必要がないといった一戸建てのメリットも享受することが可能です。マンション・アパートと一戸建ての良いとこ取りをしたような住宅といえます。

連棟式建物を再建築可能にする「連担建築物設計制度」

注意基本的に連棟式建物であっても建築基準法第43条の接道義務の規制対象となります。特にひとつの土地の中で複数の敷地に分筆されているテラスハウスの場合、各々の敷地に対して間口を設けて道路に接している必要があります

そこで、有効なのが「連担建築物設計制度」というものです。特例的に複数建築物を同一敷地内にあるものとみなして建築規制を適用する制度で、建築基準法第86条第2項に定められています。そもそも接道義務は災害や火災時に緊急車両が支障なく現場に駆けつけるため、住民がスムーズに避難できるようにするために設けられた規制です。敷地のどれかひとつが接道義務を満たしていて安全に支障がないと認められた場合、道路に接していないような奥まった土地であっても、接道義務を満たしている土地と同一とみなして再建築が例外的に認められるのです。

「連担建築物設計制度」認定はハードルが高い

ただし、連担建築物設計制度の認定を受けるためには高いハードルを超えなければなりません。まずは建物の所有者全員の承諾を得る必要があります。一人でも合意が得られないと頓挫してしまいますので、地道に話し合いをしながら説得していかなければなりません。

また、各敷地の境界が明確になっている必要があります。すでに境界確定がされているのであれば問題ありませんが、それがなされていない場合、曖昧になっている場合は敷地を新たに区割りしなければなりません。他にも住人の避難経路を確保する、各戸に防災設備を設置するなど、連担建築物設計制度の認定を受けるためにはさまざまな条件をクリアする必要があります。

テラスハウスはタウンハウスより有利

特に連担建築物設計制度の認定を受ける際にネックとなるのは敷地の境界です。各所有者の利害が関わるため揉め事に発展するケースも多く、簡単には話が進みません。所有者全員の承認を得るのが連担建築物設計制度の認定が受けられる前提としてあるため、トラブルが発生したら頓挫してしまうリスクもあります。

その点、あらかじめ敷地の境界が確定しているテラスハウスはタウンハウスと比較すると幾分かスムーズに事が運びやすいといえます。とはいえ、他にもさまざまな条件を満たさなければならないため、ハードルが高いことには変わりありません。

連担建築物設計制度が通らない場合の対処

連担建築物設計制度の適用申請手続きを行ったとしても、必ずしも認定を受けられるわけではありません。そもそも、他の所有者と折り合いがつかないという理由で手続きすらできない場合もあります。そうなったら連担建築物設計制度以外の方法を取らざるを得ません。

再建築可能な状態にすることはできないため、売却するか建物を延命するかの2択となります。以下でそれぞれの方法について詳しく見ていきましょう。

連担建築物設計制度が通らない場合の対処方法
1. 不動産買取会社や仲介会社で売りに出す
2. 内装リフォームで延命

不動産買取会社や仲介会社で売りに出す

物件を不動産買取会社に売却するか不動産仲介会社を通じて売りに出すという方法があります。しかし、再建築不可物件の場合は資産価値が低いとみなされるため売れない可能性も高く、売れたとしても二束三文にしかならないケースが多いです。不動産会社によっては話すら聞いてもらえません。

特に仲介は査定額を高く見積もって専任媒介契約を締結させるだけさせて放置されるというリスクもあります。また、買い手が一般人であるため、契約不適合責任を負わなければならず、仮に不具合が見つかったら損害賠償や減額、契約解除などが請求されるおそれもあります。

そのため、売り先(仲介にするか?不動産買取にするか?どこの会社にするか?)を慎重に検討することが大切です。

内装リフォームで延命

リフォームや修繕をしてそのまま物件を利用し続けるという方法もあります。ただし、再建築不可物件の場合、建て替えはもちろん建築許可が必要となるようなリフォーム工事はできません。やれることといえば壁紙や床材を張り替える、キッチンや浴槽などの設備を入れ替える、外壁を塗装する、局所的な破損箇所を修理するなど、小規模なリフォームに限られます。

そもそも再建築不可物件は築年数が古いため、建物全体が劣化している、現行の耐震基準で建てられていない可能性が高く、安全に利用し続けられる保証はありません。お金をかけてまでリフォームして延命をする必要があるかどうかを検討することが大切です。

なかなか売れない!という方のためのチェックリスト

「何ヶ月経っても売れない」「仲介会社で売りに出しているけど全然音沙汰がない」とお困りの再建築不可物件オーナー様も多いかと思います。資産価値が低いとみなされてしまう再建築不可物件は売りにくいという前提はあるのですが、それでも東京や神奈川エリアであればそれなりに反響があるものです。

まったく売れる気配がないのであれば、売り方に何らかの問題があるのかもしれません。以下に物件売却を成功させるための必須条件をチェックリスト形式でまとめましたので、今の状況にどれだけあてはまっているか確認してみましょう。

物件売却成功のためのチェックリスト

査定金額が市場に対して適正であるか?

まずは査定金額が適正であるかどうかを確認しましょう。たとえば100円前後で売られているコンビニのおにぎりを1,000円で売っても売れるはずはありません。同じように、あまりにも相場とかけ離れている査定額を提示され、その金額のまま売りに出しても、物件はまず売れないのです

前述のとおり、専任媒介契約が欲しいがために相場の何倍もの査定額を提示する仲介会社も存在します。そうした会社に仲介を依頼してしまった場合、その後はまったくフォローをせず放置するか、ディスカウントを繰り返して結局二束三文で売り飛ばされるかのどちらかです。

周辺の相場も調べてみて、今一度売値を見直してみましょう

レインズに登録されているか?

レインズとは国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営しているコンピューターネットワークで、これに物件情報を登録すれば不動産の購入希望者や不動産会社が物件情報を入手することができます。基本的に物件を売りに出す場合、レインズに登録しなければなりません。しかし、不動産会社が売れない、利益が得られないと判断した物件はレインズにすら登録しないこともあります。

レインズに登録されていない場合、市場に売り物件として認知されないことになるので、当然のことながら売れるはずはありません

仲介がダメなら訳あり物件専門の買取会社に相談したか?

仲介でどれだけ頑張っても物件が売れない場合、物件買取会社に相談してみましょう。仲介は買い手が一般の消費者や不動産投資家となるため、まずは購入希望者を募らなければなりません。物件買取会社の場合は買い手がその会社となるため、スムーズに売れる可能性があります

なお、資産価値が低い再建築不可物件は、やはり買取会社にも断られる可能性があります。その場合は訳あり物件専門の買取会社に相談してみましょう。こうした会社は再建築不可物件を活用するノウハウや販路が充実しているため、物件を買い取ってくれる可能性が高いです。ネットで「再建築不可物件 買取」「訳あり物件 買取」などのキーワードで検索すれば、こうした会社がいくつか出てくるので相談してみましょう。

まとめ

再建築不可状態の連棟式建物は、一般的な戸建ての再建築不可物件よりもさらに活用のハードルが高くなってしまいます。持て余しているのであれば、無理に再建築可能な状態にするよりは売却してしまったほうがいいかもしれません。

訳あり物件買取センターでは連棟式の再建築不可物件も買取可能です。業界歴は30年以上。長年培ったノウハウと販路があるため、高値で買い取らせていただきます。その他のトラブルを抱えた物件も買い取り可能です。

「どこに行っても断られた」「全然売れない」とお困りの再建築不可物件のオーナー様は、ぜひ一度弊社にお話をお聞かせください。再建築不可物件の買取りについては、「再建築不可物件の高価買取」でさらに詳しくご説明しています。

監修者

宮野 啓一

株式会社ティー・エム・プランニング 代表取締役

国内 不動産トラブルの訴訟・裁判解決件数:150件
国内 訳あり物件売買取引件数:1150件
海外 不動産トラブルの訴訟・裁判解決件数:30件

※宮野個人の実績件数

宮野啓一

経歴

1964年、東京(六本木)生まれ。叔父・叔母がヨーロッパで多くの受賞歴を持つ一級建築士で、幼少期より不動産や建築が身近なものとして育つ。
日本大学卒業後、カリフォルニア州立大学アーバイン校(UCI)に入学。帰国後は大手ビルオーナー会社に就職し、不動産売買を行う。
平成3年、不動産業者免許を取得し、株式会社ティー・エム・プランニングを設立。同時期より第二東京弁護士会の (故)田宮 甫先生に師事し20年以上に渡り民法・民事執行法を学ぶ。
現在まで30年以上、「事件もの」「訴訟絡み」のいわゆる「訳あり物件」のトラブル解決・売買の実績を積む。
またバブル崩壊後の不良債権処理に伴う不動産トラブルについて、国内・海外大手企業のアドバイザーも兼務し数多くの事案を解決。
日本だけでなくアメリカや中国の訳あり物件のトラブル解決・売買にも実績があり、国内・海外の不動産トラブル解決に精通。米国には不動産投資会社を持ち、ハワイ(ワイキキ・アラモアナエリア)・ロサンゼルス(ハリウッド・ビバリーヒルズ・サンタモニカエリア)を中心に事業を行う。

対象エリア東京都・神奈川県

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