位置指定道路なのに再建築不可? トラブルを回避するための基本知識

位置指定道路なのに再建築不可?トラブルが招く
2026年03月04日(水)

「道路として認められている=再建築できるはず」と思ってしまいがちですが、落とし穴があります。いざ建て替えに向けて動き出すと、建築確認の段階で「再建築不可」と判断されてしまうケースがあるのです。

特に注意すべきなのは接している道路が位置指定道路である場合です。“道路扱い”になる仕組みがある一方で、現在の状態が要件を満たしていない、敷地側の接道条件が足りないなどの理由で再建築が認められないケースもあります

この記事ではなぜ位置指定道路なのに再建築不可になるのかを丁寧に紐解きながら、トラブルの典型例と回避策を解説していきます。

位置指定道路とは

位置指定道路とは、行政庁から「道路」として位置の指定を受けた私道(建築基準法上の道路)です。敷地に建物を建てるには接道義務を満たす必要があるため、民間が道路を整備して“道路扱い”にする仕組みとして使われます。

”道路”の定義と建物との関係

道路には、国や自治体など公的機関が所有・管理する「公道」と、個人や法人などが所有・管理する「私道」があります。公道は原則として誰でも通行できますが、私道は所有者の管理下にあり、通行や掘削などで承諾が必要になる場面も出てきます。

公道 私道
国や各自治体が所有・管理 個人や団体等が所有・管理

ここで重要なのは、「公道か私道か」よりも、「建築基準法上の“道路”として扱われるかどうか」です。建物を建てたり建て替えたりするには、原則として敷地が“幅員4m以上の道路に2m以上接している”こと(接道義務)が求められます

私道でも、建築基準法上の道路に該当すれば建築は可能になります。一方で、見た目は道路でも法的に道路と認められているものでなければ建築できません。そのため、もともと私道だった通路を「位置指定道路(42条1項5号道路)」として指定し、建築可能にするという制度があるのです

位置指定道路の要件

前述のとおり、敷地に接している道が位置指定道路として“建築基準法上の道路”に該当すれば、接道義務の土台をクリアしやすくなります。位置指定道路とは、建築基準法42条1項5号に基づき、政令で定める基準に適合する道として特定行政庁から位置の指定を受けたものです。

「幅員が4m以上」「指定図(位置指定図)どおりの形状(延長・隅切り・転回広場など)」「関係権利者の同意がある」「指定後も基準どおりに管理されていること」などが、認定される条件になります

位置指定道路が存在する理由

ここまで、位置指定道路は“私道だけど道路扱いにできる仕組み”ということを説明してきました。そもそも位置指定道路が存在する背景には、防災・避難・緊急車両の進入など安全面への配慮があります。具体的にどのような場面で使われるのかを見ていきましょう。

位置指定道路が活用される場面

位置指定道路が活用される場面としては、主に敷地に複数の建物を建てる際と、再建築不可物件を再建築可能な状態にする際の2つが挙げられます。

一つの大きな敷地に複数の建物を建てる

住宅広い土地を複数区画に分けて開発する場合、すべての区画を公道に直接接道させるのは困難です。そこで、敷地内に位置指定道路を通し、各区画が「道路に2m以上接する」状態をつくることで、建築が可能になります。分譲住宅地で位置指定道路が多いのは、こうした理由があります。

たとえば、L字型や奥まった土地に戸建てを複数棟建てるとき、位置指定道路を“敷地内の道路”として整備しておけば、将来的に区画ごとに切り離して売却することも想定できます。位置指定道路という制度があることで、土地を無駄なく活用することができるのです。

再建築不可物件を再建築可能にする

再建築不可とは、今の建物を取り壊して新たに建築(建て替え)することが原則として認められない状態を指します。多くの場合、道路として扱われない通路にしか出られない土地や、間口が2m未満の土地など、接道義務を満たしていない敷地が再建築不可になりやすいです。

ここで位置指定道路が役立つケースがあります。たとえば、四方を他人の土地に囲まれた「袋地」は、そのままだと道路要件を満たせず再建築が難しいことがあります。しかし、公道へ抜ける通路を整備し、要件を満たして位置指定道路として指定を受けられれば、接道の問題をクリアできて再建築が認められる場合があります

再建築不可物件の概要やメリット・デメリットについては、以下の記事でさらに詳しくご紹介しています。

位置指定道路に接道しているのに再建築不可になるケース

ここまでの情報から、「位置指定道路に接道していれば再建築できるはず」と思われた方も多いと思います。間違いではないのですが、“接道しているつもりがしていなかった”“昔は要件を満たしていたが今は違う”といった事態もしばしば発生します

そもそも接道している間口が2m未満

接道義務を果たしていない位置指定道路そのものの幅が4m以上あっても、敷地側が道路に接している“間口”が2m未満だと、接道義務を満たせず再建築不可になります。

特に起こりやすいのが旗竿地(通路が細く奥に敷地がある形)です。「道路にはちゃんと接しているのに…」と思っていても、敷地の入口部分が1.8m、1.9mなど微妙に足りず、建築確認でストップがかかることがあります

昔の感覚のまま「大丈夫だろう」と動いてしまい後から発覚するケースが多いので、相続で引き継いだ方ほど注意が必要です。

管理不足による要件の不適合

管理不足による不完全な位置指定道路もう一つが、位置指定道路として指定された図面どおりの状態が保たれていないパターンです。位置指定道路は、指定図(位置指定図)に基づいた幅員・隅切り・転回広場などの条件を満たしていなければなりません。ところが、道路にはみ出す形で塀を造ってしまったり、植栽や物置で実質的に幅が狭くなったりすると、幅員4m未満となり再建築不可になってしまうことがあります

「昔は通れた」「当時は問題なかった」という話だったとしても、建て替えは今の状態で判断されます。心当たりがある場合は、まず位置指定図と現地を突き合わせて現状を確認してみましょう。

位置指定道路の再建築不可が招くトラブル

位置指定道路なのに再建築不可となるケースはさまざまなトラブルになりやすいです。よくある例を見ていきましょう。

再建築不可だと気づかなかった

「位置指定道路に接道している=再建築可能」という先入観を持ったまま、解体の見積りや建築会社の打ち合わせを進めてしまうパターンです。実際には、位置指定道路であるか、そして今も要件を満たしているかは調べられます。

建て替えを検討し始めた段階で、役所(建築指導課等)で位置指定図の閲覧、敷地の間口や道路幅の確認をしておけば、時間とお金のムダをかなり減らせます。まずは先に裏取りしておくのが安全です。

業者も再建築不可だと気づかなかった・隠していた

業者側が再建築不可に気づかなかったケースもあります。位置指定道路は、指定図と現況の一致が重要で、細かな変遷まで追えていないと判断を誤りやすいです。そのため、業者でもミスをしてしまうことがあり得るのです。

また、専任媒介を取りたいがために再建築不可という不利な情報を曖昧にするという悪質なケースもあるようです。もちろん全ての業者がそうではありませんが、道路種別・幅員・間口・現況だけは、売主側も主体的に確認しておくと安心です。

位置指定道路の所有者と連絡が付かない

困った男性位置指定道路は私道なので所有者が存在します。分譲地では住民の共有になっていることも多く、特に共有者が複数いると「誰がどこに住んでいるかわからない」「相続で名義が移っている」などで連絡がつかず、話が進まなくなることがあります。

将来の建て替えや売却を考えるなら、共有者や管理の窓口、管理ルール(持分・費用負担)を把握しておくことが、トラブル予防になります

位置指定道路の所有者から掘削承諾が得られない

上下水道やガスの引き込みなどで道路を掘削する場合、原則として私道所有者(共有者全員)の承諾が必要になることがあります。ところが所有者の中には、「工事の騒音が嫌」「工事で地盤が緩むのが不安」などの理由で拒否する人もいます

掘削承諾が取れないと、建て替えはもちろん、売却の説明にも影響します。建て替えを考える段階で、工事の可能性と承諾取得の見通しを早めに確認しておくことをおすすめします

位置指定道路の再建築不可トラブル回避法①|再建築可能にする

位置指定道路に関する再建築不可トラブルの回避策として、まず挙げられるのが再建築可能な状態に戻す(近づける)ということです。ここでは代表的な4つの手段をご紹介します。

セットバックの活用

接している道の幅が4m未満の場合、道路幅を確保するために敷地を後退させるセットバックを行う方法があります。

たとえば、位置指定道路の一部を庭や駐車場のように使っていて、塀や植栽がはみ出している場合、それらを撤去して道路として必要な幅員を確保できれば、再建築が可能になるケースがあります。ただし、セットバックした部分は原則として建物や塀を建てられず、私的に使いづらくなる点は要注意です

セットバックについてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてお読みください。

2項道路の認可

2項道路とは、建築基準法42条2項の「みなし道路」です。幅員4m未満でも、一定の条件を満たし、特定行政庁の指定を受けることで法上の道路として扱われる可能性があります。

「位置指定道路としては扱えないが、2項道路として認められないか」という方向で道が開けるケースもあります。ただし、現地の状況・成り立ち・行政の判断が絡み、調査や協議に時間がかかりやすい点は織り込んでおきましょう

「43条2項2号許可」の取得

「43条2項2号許可」(旧:43条但し書き)とは、接道義務を満たしていなくても、安全上支障がないと判断されれば例外的に建築が認められる制度です。

ただし、これは万能な解決策ではありません。包括同意基準・個別同意基準など自治体側の要件を満たす必要があります。また、建て替えのたびに手続きが必要になることもあるため、将来まで含めた計画が欠かせません。

隣地の購入

道路側の回避策とは別に、そもそも敷地の接道間口が2m以上確保できていない場合は、隣地を購入して間口を広げる方法があります。特に、ほんの数センチ足りないだけで止まっているようなケースでは、これが打開策になることもあります。

現金購入が難しければ土地の等価交換も有効です。相手にとってのメリット(敷地が整形になる、使い勝手が上がる等)を提示できれば、交渉の余地が生まれることもあります。特に将来的な売却を検討している場合、接道条件の改善は強みになり得ます。ただし、隣地所有者との関係性が前提になるため、話がこじれそうなら早めに専門家を挟むのが安全です

位置指定道路の再建築不可トラブル回避法②|買取業者に相談する

ここまで再建築可能にする方法をご紹介してきましたが、許可が必要だったり、役所との協議が長引いたり、隣人との交渉が発生したりと、手間とコスト負担が重いのも現実です。特に物件を相続された方や遠方の方にとっては、そこまでの労力をかけられないケースも多いでしょう。そうしたときの現実的な出口として買取業者に相談するという方法が挙げられます。

なぜ仲介業者ではなく買取業者か

再建築不可や位置指定道路が絡む物件は、仲介だと買主がかなり限定され、売却が長引きやすい傾向があります。さらに仲介では、専任媒介契約を求められることも多く、業者の力量によって結果が大きく変わることがあります。

一方で買取は、業者が直接買主になるため、買主探しが不要で売却までスムーズに進むのが特徴です。ほかにも、仲介手数料がかからない、短期間で売却できる、条件によっては早期に現金化できるなど、さまざまなメリットが挙げられます。早く整理したい方ほど、選択肢に入れておくとベターです。

ただし、業者選びには細心の注意を払いましょう。中には悪徳業者も存在します。騙されないためにも、ぜひ以下の記事で事例や手口などを把握してください。

再建築不可の専門性が高い業者を探す

注意したいのは、「買取業者なら必ず売れる」とは限らない点です。買取業者にも得意・不得意があり、位置指定道路・共有私道・掘削承諾など道路系の問題が絡んだ物件、あるいは再建築不可物件をどこまで扱えるかで、判断が分かれます。

確実性を上げたいなら、再建築不可の買取実績が豊富で、役所調査や権利関係の整理に慣れている“専門性の高い業者”を選ぶことが重要です

位置指定道路だからと安心しないでください

制止する女性「位置指定道路=再建築可能」という認識は、半分は正しく、半分は危険です。位置指定道路であっても、敷地の間口が2m未満だったり、位置指定図と現況がズレて道路幅が不足していたり、共有者との合意(掘削承諾)が取れないなどの理由で再建築不可になってしまうことがあります。だからこそ、まずは道路種別・位置指定図・現況・共有者を確認して、落とし穴がないかを整理することが大切です。

もし、位置指定道路による再建築不可物件の取り扱いに困っている、なかなか売れず持て余しているといったお悩みをお持ちでしたら、訳あり物件買取相談所にご相談ください。再建築不可を含む訳あり物件の取引実績があり、売却のノウハウや販売網も豊富です。状況によっては即日現金化も可能なので、「どうしよう」と感じた段階で、早めにご相談ください。

監修者

宮野 啓一

株式会社ティー・エム・プランニング 代表取締役

国内 不動産トラブルの訴訟・裁判解決件数:150件
国内 訳あり物件売買取引件数:1150件
海外 不動産トラブルの訴訟・裁判解決件数:30件

※宮野個人の実績件数

宮野啓一

経歴

1964年、東京(六本木)生まれ。叔父・叔母がヨーロッパで多くの受賞歴を持つ一級建築士で、幼少期より不動産や建築が身近なものとして育つ。
日本大学卒業後、カリフォルニア州立大学アーバイン校(UCI)に入学。帰国後は大手ビルオーナー会社に就職し、不動産売買を行う。
平成3年、不動産業者免許を取得し、株式会社ティー・エム・プランニングを設立。同時期より第二東京弁護士会の (故)田宮 甫先生に師事し20年以上に渡り民法・民事執行法を学ぶ。
現在まで30年以上、「事件もの」「訴訟絡み」のいわゆる「訳あり物件」のトラブル解決・売買の実績を積む。
またバブル崩壊後の不良債権処理に伴う不動産トラブルについて、国内・海外大手企業のアドバイザーも兼務し数多くの事案を解決。
日本だけでなくアメリカや中国の訳あり物件のトラブル解決・売買にも実績があり、国内・海外の不動産トラブル解決に精通。米国には不動産投資会社を持ち、ハワイ(ワイキキ・アラモアナエリア)・ロサンゼルス(ハリウッド・ビバリーヒルズ・サンタモニカエリア)を中心に事業を行う。

対象エリア東京都・神奈川県

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